ビットコインETFでは、ビットコインは決して「あなたのもの」にはならない
ビットコインETFに賛成
ということは、ビットコインETFは暗号資産にとって悪なのだろうか? とんでもない。暗号資産ウォレットを手掛ける私の会社Ledgerは、アンチETFではない。暗号資産の公の最終目標から逸脱しているが、ETFは複数の面でビットコインに貢献するだろう。 第一に、新規参入者にビットコインへのエクスポージャーをもたらすだけでなく、ビットコインを大きく普及させる可能性を秘めている。 実際、アメリカ国内で盛んに行われているビットコインETFの広告は、ETFがビットコインにとってこれまでで最も強力なマーケティングツールであることを浮き彫りにしている! そのうえ、ビットコインが金融システムの最も高度な領域に受け入れられるようになったため、懐疑論者がビットコインを違法行為の道具と切り捨てることも難しくなった。 第二に、ビットコインETFは、過去何年にもわたって中央集権的取引所がそうであったように、暗号資産の「約束の地」であるセルフカストディへの入口としての役割を果たすに違いないと私は信じている。 何百万人もの人々がETFでビットコインに触れ、デジタル所有権の利点を学び、最終的に真のセルフカストディを選ぶという好循環が展開されるかもしれない。 興味深いことに、2004年以降、最初の金ETFが承認された結果、金の個人所有は妨げられず、むしろ人気を博した。
金融の自由への第一歩
ビットコインETFはまやかしの一種だが、非常に現実的なものであり、暗号資産の真の所有権と主権を約束するための足がかりとして利用すべきだ。 懐疑論者の信念に反してビットコインの未来は、単にETFのような投資商品に保管され、メインストリームの投資家がエクスポージャーを得るだけの投機的な資産になることではない。むしろ、デジタル所有権のルールを書き直し、価値交換を再構築するパラダイムシフトだ。インターネットが何十億人もの人にとって、情報交換の在り方を変えたように。 人々は今やっと、暗号資産革命がもたらすユースケースの幅広さを理解し始めたばかりだ。1990年代後半には、インターネットの真の可能性がほとんど理解されていなかったのと同じように。 この規模の革命はマラソンであり、短距離走ではない。ビットコインETFは、暗号資産が可能にする金融の自由への広範な道のりの一歩に過ぎない。メインストリームのユーザーが資産に対する真の主権を持つようになって初めて、暗号資産の真の可能性が実現するだろう。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Ledger社が手掛ける暗号資産コールドウォレット|原文:A Bitcoin ETF Will Never Be Your Bitcoin
CoinDesk Japan 編集部