TVアニメに「キモい」主人公が増えた謎 地上波ギリギリのセリフが出てくる理由
最近は「キモい」キャラクターが受け入れられている
近年、TVアニメでは「キモい」といわれるキャラクターたちが視聴者に普通に受け入れられるどころか、高い人気さえ獲得しているのは、なぜなのでしょうか? 2024年冬アニメだけでも『勇気爆発バーンブレイバーン』の「ブレイバーン」や、『ダンジョン飯』の「ライオス・トーデン」、『スナックバス江』の「森田」などが「キモい」キャラの例として挙げられます。 【画像】えぇぇ(ドン引き)…しゃべらなければイケメン! こちらがヤバい主人公の皆さんです(5枚) ※この記事では『勇気爆発バーンブレイバーン』の物語の核心に触れる描写があります。 『勇気爆発バーンブレイバーン』の第2話で、ブレイバーンが主人公の「イサミ・アオ」に操縦されているときの感覚を、実に恍惚とした雰囲気で、官能的に語るシーンがありました。その様子は、実に「キモい」ものでした。 後に、ブレイバーンの正体が、戦死したはずの「ルイス・スミス」が、同じく破壊されたはずの淫蕩(いんとう)を司るデスドライヴズ「クーヌス」(CV:田中敦子)と融合したものだと判明したため、キモさの理由も分かりました。しかし、謎が明かされる前は、勇者の姿をしたロボットの口から不健全ギリギリのセリフが次々と飛び出てくることに実に驚かされたものです。 勇者ロボの口からは、勇者としての言葉しか出てこない時代を知っている人間としては、ブレイバーンのようなロボットの存在が受け入れられるのか、少々心配ではありました。ですが、SNSでの反応を見る限り、それほど否定的な発言は見当たらず、おおむね喜んで受け入れられていました。時代がより柔軟に、アニメを受け入れるようになった証左ともいえるでしょう。 さて、ブレイバーンのみならず、近年はさまざまな種類の「キモい」主人公が受け入れられるようになっています。現在も大人気放映中の『ダンジョン飯』でも、主人公のライオスは極端な魔物オタクです。普段は冷静沈着なリーダーとして振る舞いながらも、魔物のこととなると急に早口でしゃべり始めるため、仲間たちに「気持ち悪い」と思われています。 アニメではライオスの「キモさ」をより際立てるような動きや演出も意識的に行われており、動く鎧(よろい)を襲撃するシーンでは、一つひとつ冷静にパーツを引きはがしていくなどマッドサイエンティスト的な怖さが際立つようになっています。情熱のブレイバーンとは異なり、冷静に淡々とキモさを積み上げていくのがライオスの特徴といえるでしょう。