ナマハゲの町で作る「クラフトサケ」 1年で1億円売り上げたヨソモノ起業家が“日本酒”に挑む
秋田の老舗酒蔵で修業した若者が、「ナマハゲの町」として知られる秋田県男鹿(おが)市に、新たな酒蔵を立ち上げました。 その名は「稲とアガベ醸造所」。一風変わった名称の施設では、日本酒にテキーラの原料でもある植物「アガベ」のシロップを加えた新ジャンルのお酒「クラフトサケ」をつくっています。 運営する稲とアガベ株式会社は創業1年で売上高約1億円、2年目は1.5億円を見込むなど、現在急成長中です。 代表の岡住修兵さんは酒蔵の跡取りでも、秋田出身でもない「よそ者」です。 なぜ、斜陽産業とされる日本酒の世界でビジネスを起こしたのか。過疎が進む町を選んだのか。若き起業家が切り開く、日本酒と地方の未来を追います。
岡住さんは日本酒とは関係のない家庭に育ち、大学は関西の総合大学でアントレプレナーシップやベンチャーファイナンスを学んだ、若き起業家。日本酒業界では異色の存在です。
【岡住修兵(おかずみ・しゅうへい)】 稲とアガベ株式会社代表 1988年、福岡県生まれ。神戸大学経営学部卒。 2014年から秋田市の新政酒造で酒造りを学ぶ。 2018年に退社し、起業準備。 2021年に秋田県男鹿市で「稲とアガベ醸造所」を立ち上げる
岡住 「大学で読んだ教科書に『起業とは、それ自体が社会貢献である』と書かれていて、衝撃を受けました。世の中の企業の8割は中小企業で、平均寿命は10年程度。起業家たちが中小企業を起業し、成長や廃業を繰り返すことで、多くの雇用を満たし、社会に貢献している――。僕も、雇用を生み出し社会に貢献する起業家になりたいと考えました」 しかし「経営」の世界は広く、選択肢は無限にあります。どの分野で起業したらいいか、答えはなかなか見つかりません。また、各界で活躍している起業家を調べてみると、パワフルで圧倒的なモチベーションの持ち主ばかり。到底かないそうにありませんでした。