「腕が上がらない」ときの原因はご存じですか? 治療・対処法を整形外科医が解説
肩の痛みに病院ではどんな治療が受けられるの?
編集部: 医療機関では、どのような治療法がありますか? 羽生先生: 骨折や神経損傷などがないか確認した上で、痛み止めやステロイドなどの薬を処方します。さらに、必要に応じてリハビリテーション、ヒアルロン酸やステロイド注射、サイレントマニピュレーションなどの治療をすることもあります。 編集部: サイレントマニピュレーションとは何ですか? 羽生先生: サイレントマニピュレーションとは「非観血的肩関節授動術」のことです。簡単に言うと、手術をせずに、固まった肩関節の可動域を良くする処置で、外来で対応出来るため入院する必要もありません。治療内容としては、最初に頸部神経根ブロック注射の麻酔を行い、硬くなってしまった肩関節の痛みを軽減させます。痛みが感じにくくなっている間に、医師が関節を少しずつ動かしていくという処置を行います。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 羽生先生: 肩が痛かったり、腕が上がらなかったりすると、すべて四十肩・五十肩と思われるかもしれませんが、それぞれ原因は別であり、原因を見つけて正しい治療、リハビリテーションを行えばほとんど症状は改善が期待できます。放っておけば治ると思わずに、困っていたら整形外科などに相談してみましょう。
編集部まとめ
放っておくとますます関節が固まってしまうこともあるので、早めに受診したほうが良いようです。最近は「サイレントマニピュレーション」という新しい治療法も出てきているとのことで、気になる方はお近くの整形外科を訪ねてみてはいかがでしょうか。
【この記事の監修医師】
羽生 亮 先生(はにゅう整形外科) 順天堂大学医学部卒業。順天堂大学・大学院医学研究科修了。東京労災病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂大学医学部附属浦安病院などで経験を積み、越谷市立病院では整形外科医長を勤めたのち、平成26年3月3日、越谷市相模町に「はにゅう整形外科」を開院、院長となる。医学博士、日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。