怖かった街「立川」を変貌させた“大家”企業の正体 商業施設が続々開業、住みたい街にランクイン
その昭和記念公園の横に2020年に誕生したのが、大型複合施設「グリーンスプリングス」だ。立川駅から徒歩8分程度、上空をモノレールが走るのを見ながら歩ける距離。店舗や飲食店のほか、オフィスや保育園、大規模ホールを備え、日常でも非日常でも利用できる。 「計画時にあった柵をほぼなくした開放的な空間です。『目的がなくても来てもらえる場所』を目指し、若い夫婦から高齢者まで幅広い年代の方が来られます」(村山社長)
前述の「ソラノホテル」もここにある。昨年、ホテルの運営会社に取材したが、「『上質なホテルを創る』が、『地元のホテルと競争しない』『婚礼と宴会ビジネスはやらない』という条件でした。ソラノホテルが“動”なら、ときとは“静”の存在です」と語っていた。 ■独創的な作りのホテル 同ホテルは、立川には珍しい独創的な施設だ。全客室が昭和記念公園に向き合い、10階と最上階の11階にはインフィニティ(水面と空が一体化したような)プールがあり、食材にこだわった「ダイチノレストラン」もある。
もうひとつの「オーベルジュ ときと」があるのは、立川の隣の西国立駅前。「オーベルジュ」とは、地方や郊外にある「こだわりの食を堪能して宿泊できる施設」の意味だ。 宿房・食房・茶房から構成される「ときと」には、国内外で実績を上げたホテルマンやシェフ、パティシエが各地から集まった。昨年取材した際の「開業記念特別プラン」は当時34万2250円(2名分、1泊2食、税・サービス料込み)もした。現在は「ときとで食事+ソラノホテルで宿泊プラン」もあるが、それでも高価格だ。
「時に『道楽で経営している』とも言われますが、魅力的な街づくりを目指すのは、広大な不動産という社会資本財を持つ会社としての責任だと思います」と話す村山社長。 再開発によりイメージもよくなった立川だが、課題は残されている。 ■残された課題は交通渋滞 「それは道路問題につきます。立川駅前のロータリーをはじめ、交通渋滞を引き起こす場所があちこちにあり、広域防災の視点からも見過ごせません。立川駅周辺で車が南北(南口と北口)に抜けられる道路もほとんどなく、他の地域から来られる方の評判も悪いです。立川市や東京都、国にも陳情していますが、なかなか解決されません」