なぜ昨季以前わずか6試合出場の仲川輝人はJリーグMVPを獲得するまでに覚醒したのか?
昨シーズンの開幕時点で、J1リーグ戦の出場がわずか6試合。プレー時間もわずか123分で、先発およびゴールがともにゼロだった27歳の苦労人が、今シーズンの得点王を獲得。15年ぶりとなる横浜F・マリノスのJ1制覇に貢献し、さらには最も栄誉ある個人タイトルをも手にした。 都内のホテルで8日夜に開催された、Jリーグ年間表彰式のJリーグアウォーズ。ハイライトとなる最優秀選手賞(MVP)を獲得したFW仲川輝人は、EAFF E-1サッカー選手権2019に臨む日本代表に初めて招集され、10日の開幕へ向けて到着したばかりの韓国・釜山から喜びの声を届けた。 「マリノスに関わるすべての関係者の皆さまに、Jリーグの歴史に自分の名を刻めたことを感謝したいし、マリノスのファン・サポーターへこの賞を届けたい。チームメイトのサポートがあって自分のプレーを発揮できたので本当に感謝していますし、自分の努力もついに実ったのかな、と思っています」 文句なしの戴冠だった。J1の個人表彰は、まず全18チームの監督およびリーグ戦で17試合以上に出場した選手がそれぞれベストイレブンを投票。各ポジションで得票順に優秀選手賞33人がまず選出されるなかで、全体で最多となる断トツの196票を集めたのがFWの仲川だった。 つまり、実際に戦ったチームの監督や選手から、最も認められた選手が仲川となる。そして、村井満チェアマン、原博実副理事長、全チームの実行委員(代表取締役)ら22人で構成される選考委員会が、33人の優秀選手賞受賞者からベストイレブンを、さらに11人からMVPを選出する。 ベストイレブンの顔ぶれは優勝したマリノスから4人、2位のFC東京から6人、そしてMFアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)となった。DF森重真人(FC東京)以外はすべて初受賞となったフレッシュな顔ぶれのなかで、仲川が歩んできたサッカー人生は異彩を放つ。