「アベノミクス」をわかりやすく説明 (成長戦略編)
安倍政権の経済政策「アベノミクス」の「3本の矢」のうち、3本目が成長戦略です。 成長戦略とは、企業をしばっている規制を緩くしたり、外国との貿易をもっと自由にしたりして、日本経済を成長させるための戦略です。 この成長戦略は「3本の矢」の中でいちばん大事だと言われています。ほかの2本の矢(金融緩和と公共事業)で仮に景気がよくなったとしても、好景気が無理なく長続きするとは限らないからです。例えていえば、金融緩和と公共事業が風邪薬だとすると、成長戦略は体質改善のようなものです。 規制緩和によって企業の動きを活発にさせる必要があるという点では、ほぼ異論がないようですが、個別のテーマごとに賛成と反対が分かれます。どの規制をどれくらい緩和するかは、省庁の大臣らが企業の経営者や学者を交えて議論しています。
検討中の分野は雇用、医療、エネルギーなどさまざまです。例えば、正社員をクビにしやすくするための法改正。今は経営が悪化してもなかなかリストラできないなど、企業の負担が重いと言われています。ただ、クビにしやすくなれば、正社員の生活が不安定になります。 市販薬のネット通販を解禁すべきだという意見もあります。薬局に行かずに薬が買えて消費者にとっては便利ですが、薬剤師による説明が難しいので危険だと反対する人もいます。 貿易自由化については、今年3月、安倍首相がTPP(環太平洋経済連携協定)に参加したいと手を挙げました。TPPとは、太平洋を囲む国々が互いに輸入品にかける関税を下げるなどして、モノやサービスのやりとりを活発にしようという取り組みです。今のところ米国やニュージーランドなど11カ国が具体的なルールを話し合っています。 TPPに参加すれば海外の製品や食品が安く買えるようになるし、日本から海外に向けて売りやすくなります。ただ、海外の安い農産物が大量に入ってくると日本の農家が困るとか、輸入食品の安全性が不安だとか、いろいろな理由で反対する声も根強いのです。