24時間テレビのテーマが「愛は地球を救うのか?」に テレビ局には救えない…「偽善でも誰かを救う」とかいいんじゃないかな
【テレビ用語の基礎知識】 日本テレビは、今年の「24時間テレビ」の新テーマを「愛は地球を救うのか?」にしましたね。救うのか? って…疑問が残るのなら放送を止めればいいのに、と素直に思いますが、確かに愛が地球を救うかどうかは、哲学的で深いテーマではありますね。 【写真】スタジオジブリの宮崎吾朗監督が手がけた「24時間テレビ」のチャリTシャツ でも本質はそういうことじゃない。少なくとも「テレビ局は地球を救わない」と私は断言できます。テレビ業界に長年身を置く立場として、テレビ制作会社が安い番組制作費のせいで潰れ、スタッフがボロボロになっても救わないテレビ局は、絶対地球のことなんか救わないし、そもそも地球がどうなるかにまったく関心もないし考えていない、と断言できますね。 これは日本テレビさんだけじゃない。各局みんな同じ。最近判で押したように「SDGs週間」とか「地球を考える」みたいなことを各系列でやっていますが、別に地球を考えているのじゃなくて、「スポンサーの需要があるからやっている」のが見え見え。もっと平たく言えば「SDGsって言っときゃCMが売れるだろ」という感じが透けて見えちゃいます。 日テレ系列が募金の着服事件から信頼回復をしようとするなら、まずは自分たちのやっていることが「愛」でも「地球を救う」ことでもないことを認識すべきではないでしょうか。僕なら違う新テーマを選びますね。たとえば「偽善でも誰かを救う」とかいいんじゃないかな。 基本これまで日テレ系列がやってきた「募金を集めて、慈善活動に寄付する」ことは良いことだと思うんです。ちゃんとした「チャリティー番組」を長年やり続けてきたのはたぶん日テレ系列だけなんだから、それは堂々とやり続ければいい。でも、実際は「24時間テレビ」はビジネスなんだし、それで大きな売り上げを上げているわけだから、まあ偽善といえば偽善でしょう。でもそのおかげで、困っている誰かが助かっている。 被災地を支援する某有名人が「売名行為だけど文句あるか」と言っていたように、偽善でも誰かを救えるならばそれでいいじゃない! という割り切りがテレビっぽい気がします。エグい方法をガンガン使って募金を集めまくって、それをジャジャーンと寄付しましょうよ。「今年はこんなにお金を集めました。私たちの偽善が誰かを救いました。イエーイ」くらいのノリで24時間テレビをやったらどうでしょう? もう「感動ポルノ」と非難される「お涙ちょうだい企画」はやめて、お金の管理もしっかりして、すがすがしい「集金マシン番組」を目指したほうが噓くさくないのでは。どうですか?
■鎮目博道(しずめ.ひろみち) テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日入社。「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」などのプロデューサーを経て、ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。新著『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)が発売中。
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