国家ブランド指数No.1の日本 海外に評価される、知られざる本当の強み
日本の強みはどのように活かせるのか?
■日本の強みの活かし方 ──調査を通して、佐宗さんが感じる日本の強みと、それをどう活かすべきかについて教えてください。 佐宗:まず、強みで言うと、これだけの幅のコンテンツを持っているっていうことには、奥行きのあるブランドとしてすごく価値があるんじゃないかなと思っています。 例えば、韓国と比較して、日本の文化ってどういうイメージかと考えた時に、一見コンテンツの世界だけで見ると、アニメ、マンガ、ゲームの日本に対して、ダンス、パフォーマンス、 コスメなどが韓国にはあって、そこの戦いで競っているみたいな風潮に結構なりやすいのだと思います。 しかし、その表面的な戦いの裏に、日本はそもそも伝統文化があって、古い文化と新しい文化が両立しているユニークな国だと言われていたり、他にも、例えば、食べ物、酒、道具、インテリアやクラフトもあれば、 ファッションも評価されているし、さらに言うと、自然というリソースだったり、スピリチュアリティである精神性みたいなものも含めて評価されているっていうのは、すごいことではないでしょうか。 表面的に幅が広いけど、実はものすごく奥深いブランドだ、というところが強みなんだろうなと思っています。そういう意味ですと、今までのクールジャパン戦略で言っていたことの、アニメ、マンガ、ゲームのコンテンツ産業の輸出というのは、その全体的な、 広くかつ奥深い日本ブランドの表面的な部分、入り口を切り取っていたんだなと思うんです。 けれども、実はその裏には奥深さがあって、むしろそこに興味のある外国人の方がはるかにちゃんと理解して、興味を持って勉強しているのです。そういう外国人が、実際にファンとして現れているっていうこと自体が、もうすでに強みになってるのかなと思います。 ■「熱狂よりも探求したい」魅力 ── 調査のなかで熱狂よりも、探求したいっていうキーワードが非常に印象に残りました。 佐宗: 日本はどんなブランドか。また、どんなものを提供しているかと聞くと、 特にヨーロッパの方を中心に「バラエティ豊かな遊び心のある体験が多い」という意見をたくさん聞きました。例えば、日本だから富士山というような1個のコンテンツで押すんじゃなくて、色々選ぶことができる。日本には、そんな面白いものが分野を越えてたくさんあります。それが、訪れる人の探求心をくすぐるのではないかと思うんです。 ── これからのインバウンド政策の方向性の変化に関して、どう考えられていますか。 海外にいる人も、アニメはネットフリックスなどでも見られたり、漫画やゲーム、時に文学作品などを通して、日本のライフスタイルに触れるなかで、興味を持った人が実際に旅行に来たりするわけです。 旅行に来ることで、例えば本当の日本食と出合ったり、コンビニへ行くとクオリティの高いものがたくさん安く置いてあったり、そういうもののクオリティの高さに、旅行しながら気づき、さらに興味を持っていく。長期滞在を通じて、これらの気づきが生まれ、さらに深くなっていく。よりスピリチュアリティにも興味を持つようになり、自然豊かなエリアの多さに気づく、といった発見をする上でも、やはり長期滞在は非常に有用だなと思っています。