GPIFの資産配分見直し、約半数のアナリストが日本株引き上げ予想
(ブルームバーグ): 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2025年度から国内株式の資産配分比率を引き上げ、外国債券を引き下げる可能性があると、アナリストの約半数がみていることがブルームバーグの調査で分かった。
GPIFは原則5年に1度、資産運用の大枠である基本ポートフォリオを改定しており、来年度から新しい基本ポートフォリオが適用される。現状の比率は国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の各資産25%。調査では回答者の48%が国内株式の比率を引き上げると予想、残り全員が現状維持を見込む。外国債券は減らすと現状維持がほぼ半数。調査は8月13-19日に国内の金融機関や機関投資家のアナリストを対象に実施、21人から回答を得た。
公的年金を運用するGPIFは6月末現在の運用資産総額が250兆円に上る巨大投資家で、その一挙手一投足に注目が集まる。このところの円高で世界最大の年金基金という地位を取り戻したとみられる。GPIFが日本株式の比率を引き上げれば14年秋以来約10年ぶり。5%ポイントの引き上げで10兆円以上の買い需要が発生する可能性がある。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「市場への影響はとても大きい」との見方を示す。賃金が上昇し始める中で「GPIFに要求される利回りも上がってきており、期待リターンの高いポートフォリオに変える必要があるというのは理屈としては通る」と話す。
年金給付額はインフレに合わせて引き上げられることから、GPIFの運用収益が大きければ将来の年金財政への負荷が軽減される。このため、リスクは高いが長期的により高いリターンが期待できる株式での運用を増やす可能性が市場では意識されている。
前回20年の見直しでは、日本銀行の大規模緩和によって利回りが大幅に低下した国内債券への配分を35%から25%に減らした一方、外国債券を15%から25%に引き上げた。国内株式と外国株式はそれぞれ25%で据え置いた。発表されたのは年度が替わる直前の3月31日だった。