仕事が取れる士業の名刺デザインとは?(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書『資格起業バイブル』から、再構成してお届けします。
■「先生名刺」では仕事は取れない
『Q.士業らしく威厳のある名刺がよいと聞きましたが、仕事が取れるデザインはありますか? 先輩から、士業は士業らしい名刺がよいと聞きました。私は個人的には写真などがあったほうが目立ちますし、よいのではないかと思います。また、名刺には専門業務を書いたほうがよいとも聞きました。実際のところ仕事が取れる名刺のデザインはあるのでしょうか?』 名刺はビジネス上で誰もが持つもっとも基本的なツールです。名刺は相手に自分の情報を伝え、あいさつする際に渡すという役割を持ちますが、まさしく「たかが名刺」とは言えず、非常に重要なものです。 先述しましたが、まずは誰もが最初につくる「資格名、名前、住所、電話番号、メールアドレス」のみ記載し、あとは士業のマークを載せるいわゆる「先生名刺」というものです。 最近はこの情報のほか、SNSやホームページの記載が一般化してきただけまだ前時代よりは一歩前進したといえますが、多くの士業がこういった名刺を持つので差別化ができず、さらに名刺をもらった相手も情報量が少なすぎて覚えられません。特に行政書士や司法書士は、その名称だけでは何の仕事をしているかわかりにくく、せっかく営業に精を出しても無駄になってしまうことが多いのです。
■名刺は、情報量が勝負
では、どのような名刺にすれば仕事が取れるのでしょうか。ポイントは大きく分けて3つあります。 まずは写真です。自分の顔写真を載せることに抵抗がある人も多いようですが、一度会ったくらいでは人は顔を覚えられません。できるだけ顔写真、それも笑顔の写真を掲載してください。名刺交換後、あなたに何か相談したいとお客様が考えた場合、名刺交換した名刺をもう一度取り出すことになります。 そのとき、お客様はもうあなたの印象を忘れてしまっています。これは誰しも当たり前のことなのですが、再度見た名刺の写真が無愛想な顔なのと笑顔の写真とでは頼みたい気持ちが変わってきます。シンプルなようで実に重要なことです。しかも誰でもできます。 2番目のポイントは情報量です。ここが肝といえるでしょう。 お客様にとって重要なのは資格ではなく、あなた自身に関する情報です。あなたが仮に弁護士ならば、他の弁護士との差など、お客様にとっては理解できるところではありません。つまり、仕事の能力は同じ士業ならほぼ同じと一般的には考えられています。そのため、士業以外の経歴、プロフィール、実績などを積極的に掲載することが重要なのです。 たとえば、出身地、学歴、職歴、趣味、家族構成、スポーツ歴などこういったものを載せるだけで相談や問い合わせは増えていきます。 「こんなことで?」と思われるかもしれませんが、実際に私自身の経験やクライアント士業で結果が出ているので、これが重要ですといわざるをえないのです。これも誰でもできるノウハウです。ただ、あなたの情報を載せるだけです。 人は共通点が多ければ多いほど、あなたを特別な人だと考えるのです。そのため、名刺に情報量があればあるほど人は名刺交換時にあなたに好感を持ち、そして会話も結果として弾むことになります。 最後のポイントは、あなたが何をしてくれる人かわかるように記載することです。 弁護士、税理士などは社会的認知度が比較的高いので、そのままでもかまいませんが、行政書士や司法書士、社会保険労務士などは自分自身が何を行う人なのかを明確に書いておくと、お客様に選ばれやすくなります。 横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
【プロフィール】
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。