一見の価値 前進座が史上初の女性だけの歌舞伎舞踊に挑戦 連日大きな拍手起きる
5月22日に創立93周年を迎える劇団前進座。現在、東京・池袋の東京建物ブリリアホールで歌舞伎公演(20日まで)を行っている。中でも舞踊「雪祭五人三番叟」は踊り手だけでなく、浄瑠璃、奏者、後見含め、オール女性という史上初の試みに挑戦中。連日、大きな拍手に包まれている。 おなじみの「三番叟」をもとに、5人で踊り、たくさんの趣向をこらした前進座オリジナル。1968年から数えて18回目になる劇団の人気演目だ。 始まりの迫力ある群舞から観客を圧倒する。バランス感覚が求められる激しい動きが、息つく間もなく続く。衣装も重く、踊り手の体力消耗度は尋常ではない。 出演のベテラン、北澤知奈美は「本番に耐えられる体力をつくるために、まず3か月間、筋トレから始めました。腹筋、背筋を中心に。最初は膝がガクガクでしたね」と話す。動きの躍動感を見れば、特訓の成果が分かる。これが細部の表現の豊かさにもつながっている。 若手劇団員の有田佳代はクラシックバレエ経験者。「劇団の養成所に入って日本舞踊が一番好きに。今回、5人の中で一番小柄です。とにかく体を大きく使って踊るよう心がけています」と懸命だ。 もうひとつ上演されるのが「歌舞伎十八番の内 鳴神」。前進座のレパートリーで最多の上演回数1300回をこえる。嵐芳三郎が鳴神上人を初役で。河原崎國太郎が、持ち役とする雲の絶間姫を演じている。2つの演目の間には劇団代表の藤川矢之輔が口上を述べ、前進座の歴史や上演演目をエピソードを盛り込みながら分かりやすく解説している。
報知新聞社