「年金だけでは赤字」白タク行為で逮捕された70歳男性が裁判で語った“犯行”の背景
今年4月から「日本版ライドシェア」解禁もタクシー業界は慎重な姿勢、
今年4月、自家用車を用いて一般ドライバーが有償で客を運ぶ「日本版ライドシェア」が解禁された。ただ、解禁といっても「時間帯・期間限定」などある程度の条件がつく。また運送の主体となるのはタクシー事業者で、東京都や神奈川県などの一部地域のみが対象だ。 日本政府観光局(JNTO)が発表した訪日外客数(今年4月推計値)は304万2900人で、前年同月比で56.1%と5割以上増加しており、新型コロナウイルス感染拡大前の19年同月比でも4%の増加。日本を訪れる外国人の数が増えている。また道内での昨年4~9月までの観光入込客数は3198万人で、前年同期比で18.8%増えており、このうち96万人が外国人だったという。 それと同時に深刻なのが、ドライバーを中心とした人手不足だ。帝国データバンクが今年2月に発表した人手不足に対する企業の動向調査によれば、正社員の人手が不足している企業は52.6%と半数以上あった。特に物流業では全体で72%が人手不足に陥っている結果が浮き彫りになった。調査の中で同社は、今年4月から時間外労働の上限規制が適用されたこともあり、労働力不足の深刻化と機能の行き詰まりを指摘していた。 ライドシェアをめぐっては、川鍋一朗全国ハイヤー・タクシー連合会会長が毎日新聞のインタビューの中で、ライドシェアを全面解禁すれば「血みどろの戦い」になるなどとして慎重な構えを見せている。ライドシェアを全面解禁すべきか、一部の地域のみにすべきか。それとも過疎地のみの導入など別の方法を考えるか。わが国は大きな選択を迫られているのではないだろうか。
小林英介(こばやしえいすけ) 1996年北海道滝川市生まれ、札幌市在住。ライター・記者。北海道を中心として、社会問題や企業・団体等の不祥事、交通問題、ビジネスなどについて取材。酒と阪神タイガースをこよなく愛している。
小林 英介