〝勝負メシは〟いつもおにぎり 石川佳純さんに聞く 日本の食と農
おいしい物 国内外に伝えたい
「食が体をつくる」という意識を持って、選手時代から食には気を使ってきました。卓球は試合が次から次へとあります。そこで風邪をひいたり、けがをしたりして試合に出られないと、自らチャンスを逃すことになります。そのため体づくりは重要で、その基本となるのが食でした。 【画像】小学生と真剣勝負する石川佳純さん 特に気を付けているのが栄養のバランスです。米に野菜、肉、卵。肉なら牛、豚、鶏と満遍なく食べます。調理法を変えながら、なるべく脂が少ない食材を選びます。試合前には、消化の良いものを朝・昼・晩と食べるよう心がけていました。 コートに入る前の“勝負メシ”も大切です。必ず食べるようにしていたのがおにぎり。お米は腹持ちも良くエネルギーになります。何より食べると安心します。五輪や世界選手権、五輪出場を決める試合の前にも食べていました。朝食は昔から「ごはん派」です。 海外遠征では、お米と炊飯器を持参していました。おにぎりにしたり、カレーや牛丼などのレトルト食品をかけて食べたり。プレッシャーがかかる環境でも、幼少期からなじんだ味が気持ちを和らげてくれました。 食事はコミュニケーションの大事な場でもあると考えています。皆で一つの物を食べると自然とコミュニケーションが生まれます。コーチやトレーナーらとのチームワークは、好きな焼き肉などの食事を共にしたことで強くなったと思います。 食べることの大切さなど、卓球を通じて多くのことを学びました。今度は卓球を通じて全国の子どもたちに夢を持つこと、目標に向かって頑張ることの楽しさを伝えたい。卓球教室の「47都道府県サンクスツアー」では、卓球が教えてくれたことを伝え、今まで支えてくれた人たちに直接会って感謝を伝える機会にしたいです。 サンクスツアーでは新たな発見もあります。その地域の歴史やおいしい物です。現役時代にも全国各地に行きましたが、地域や食のことを学ぶ余裕はありませんでした。ツアーでは、特色ある日本の食にも触れることができています。 日本のおいしい物を、当たり前においしく食べられるのは、生産者の皆さんの努力や愛情があるからだと思います。その魅力を今度は国内外に向けて伝えていきたい。そして私自身も感謝の気持ちを忘れずにおいしくいただきたいです。 (聞き手・郡司凜太郎)
日本農業新聞