強い辛味と華やかな香り「十久保南蛮」で地域元気に 天龍村で復活の伝統野菜
生産者と旭松食品、商品化の取り組み
旭松食品(本店・飯田市)は、天龍村で地元農家が復活させ、昨年県の「信州の伝統野菜」に選定された唐辛子「十久保(とくぼ)南蛮」の商品開発に生産者と取り組んでいる。一味唐辛子など調味料としての商品化を検討。「地域の活性化につなげたい」と大豆加工技術を生かし、十久保南蛮のブランド化に協力する。 【写真】ユズの香りに包まれながら「柚餅子」作り
十久保南蛮は、強い辛味と華やかな香りが特長。一時、栽培が途絶えていたが、地元農家が復活させた。近く、農家が生産者組合を発足させ、収量の確保を目指す。
食品の共同研究で関わりのある唐辛子の専門家から紹介され、同社は十久保南蛮に注目。特長を生かし、見た目も良い色となるように、フリーズドライや熱風乾燥といった乾燥方法を研究。十久保南蛮を油に漬けるラー油や、南信州産の食材を交ぜた七味も検討しているという。
同社は、高野豆腐の製造過程で出る排水を処理する際にできる微生物の塊と木質チップを原料にして肥料「旭松ソイバイオソイル」を製造している。土壌改良効果などが期待されることから、今後発足する生産者組合は、肥料を活用する方針。循環型の農業を実践する考えだ。
商品化で同社と協力する栽培農家の板倉貴樹(たかき)さん(47)=天龍村=は「開発のノウハウがあり地元農家へのリスペクトも感じ、ありがたい。伝統野菜は販路が課題なので、企業との連携は農家の生産意欲にもつながる」と話している。