<春に挑む・’22センバツ大分舞鶴>応援編/中 「食トレ」選手支え スポーツ栄養研究会 甲子園目指す食事伝授 /大分
「主食をしっかり食べて、ビタミン類も十分にとってください」。3月上旬、大分舞鶴のグラウンドで、県栄養士会有志による「スポーツ栄養研究会」の銅城順子代表(64)が、選手に食事の注意点を解説した。8年近く続く通称・食事トレーニング(食トレ)だ。 それより前の選手の体の線は細く、体格の違う相手にひるんだり、途中で息切れして敗れたりしていた。2013年に外部コーチになった土居弘治さん(49)が見かねて知人の栄養士、粟生美幸さんに「強豪校にはまず、体つきで劣る。生徒たちに1勝する喜びを教えてあげたい」と依頼した。 それを聞いた粟生さんは「私たちがやるからには甲子園を目指す」と選手たちに発破をかけ、有志で1~2カ月に1回、グラウンドに足を運ぶようになった。そこで分かったのは選手の食事の仕方だ。アンケートをすると、勉強時間の確保のため、おにぎりや唐揚げなどの軽食のみや、サプリメントに頼るといった誤った食事をしていることが分かった。 そのために始めたのがスポーツに必要な栄養素を取るための食トレだ。「ご飯とおかずの他に果物も食べなさいね。果汁100%のジュースもいい」「練習後におにぎりや魚肉ソーセージなどの間食もいいのよ」と選手に声をかけた。保護者にも協力を呼びかけ、休日に学校の調理室で調理実習をして、球児に必要な食事について説明した。保護者の1人は「子供は親に気を使って、『もっとご飯を作って』とは言わない。野球に必要な食事の量が初めて分かった」と振り返った。 食トレの成果もあり、選手の体つきは変わった。秋好光(てらす)選手(2年)は「昨秋から体重が3キロ以上増えた。単に食べる量を増やすのでなく、栄養バランスも意識しました」と話す。粟生さんは「ようやく夢が実現しました。選手たちは我が子のようです。広い甲子園で伸び伸びとプレーしてほしいですね」と語った。【辻本知大】