380年続く愛知・犬山祭 ── 桜と祭屋台が競演
春たけなわ。サクラが一斉に見ごろを迎える中、愛知県犬山市では豪華な祭屋台のひき回しで知られる犬山祭がこのほど、2日間にわたって開催され、多くの見物客でにぎわった。
背の高い車山(やま)が一堂に会する
国宝犬山城のお膝元、針綱神社の例祭として江戸時代から380余年も続き、国の重要無形民俗文化財に指定される犬山祭の車山行事。犬山城下町の各町から祭屋台である車山(やま)12輌が針綱神社前に集結し、順番に「からくり」を奉納した。背の高い車山が一堂に会する圧巻の雄姿を見に多くの人々が詰めかけた。 からくりを披露した後、車山は二手に分かれ城下町を運行。夕方になると車山は365個の提灯を点した幻想的な姿となり、見学客からは感嘆の声が上がった。 同県常滑市から訪れた70代の女性は、「地元にも山車が出る祭りはあるが、犬山は盛大だと聞いて一度見てみたかった。雨かと心配していましたが明かりの灯った姿が見られて嬉しいです」と話した。
全国的にも珍しい祭屋台・迫力の「どんでん」
この犬山祭で巡行される車山(やま)とは、城下町の各町にて大切に保存・管理されている祭屋台のことであり、3層構造の上層に江戸時代から伝わるからくり人形を備える豪華絢爛なもの。3層構造という造り、また全ての車山にからくりの仕掛けが施されているのは全国的にもここだけという珍しいもので、車山ごとに仕掛けが異なるのも特徴。笛や太鼓などの生演奏の楽曲に合わせて鮮やかな舞を見せた。 また、1台約5tもの重さがある車山は、「てこ」と呼ばれる引き手の男たちが牽引し移動するが、交差点などでは男たちが車山を豪快に持ち上げ一気に方向転換を行っている。 その様子を犬山祭では「どんでん」と呼び、迫力のある様子が見られた。
犬山は県内屈指のサクラ名所
国宝犬山城や、国宝茶室を有する有楽苑などの観光名所、木曽川河畔など桜の名所としても有名な犬山では桜を楽しむイベントも行われている。 約400メートルに渡りサクラ並木が続く木曽川河畔を船上から見学のできる「風流お花見船」や「お花見人力車」が運行されるなど、ひと味違う花見も体験でき多くの人がそれぞれのスタイルで花見を楽しんでいた。