“放流”で罰金も…アメリカザリガニなど「条件付特定外来生物」に 各地で被害深刻
日テレNEWS
全国の川や池などに生息する「アメリカザリガニ」と「アカミミガメ」は生態系への影響が大きいとして、来月1日からは「条件付特定外来生物」に指定されます。一度飼ったものを川などに放したり、捕まえた場所とは別の場所に放したりすると、罰金が科されることも。背景には“深刻な被害”がありました。 ◇ 神奈川・横浜市の都筑中央公園では、池をただようアメリカザリガニを釣って楽しめます。 釣りを見ていた人 「『わーい』って必要以上に釣ってしまう子もいるかも」 ただ、“必要以上”に釣ってしまうと今後、困る可能性が出てきています。 都筑里山倶楽部・調査観察部会 河村暢宏部会長 「ザリガニとアカミミガメが法律で規制される」 26日、西村環境相は「アカミミガメおよびアメリカザリガニを『条件付特定外来生物』に指定する」と呼びかけました。 今や全国の川や池などに生息するアメリカザリガニと、通称“ミドリガメ”とも呼ばれるアカミミガメは、生態系への影響が大きいとして、来月1日からは「条件付特定外来生物」に指定されるのです。 何が変わるのかというと、捕まえて飼うことや、少人数に無償で譲り渡すことは今後も問題ありませんが、一度飼ったものを川などに放したり、捕まえた場所とは別の場所に放したりすることは禁じられます。違反すると懲役3年以下の罰則や、300万円以下の罰金が科されることもあります。 ただ、捕まえてすぐにその場で放す“キャッチアンドリリース”はOK。また、販売や購入は禁止されます。 26日、都内でザリガニ釣りをしていた親子に聞きました。 ――知ってます? 6月から… 「何?」 ――(飼うと)リリースできない 「えー知らない! まったく知らなかった。1回飼っちゃうと? 釣ってまたすぐ戻したら大丈夫?」 ――それは大丈夫なんですけど 26日は、捕まえるとすぐに戻していました。 ◇ 色鮮やかなアメリカザリガニを販売するアクアショップも、今月末で販売を終了します。 めだか屋うなとろふぁ~む 山崎圭吾代表 「さみしいです。しょうがないけど、法律上だから」 ――今いるザリガニたちは めだか屋うなとろふぁ~む 山崎圭吾代表 「僕の愛玩のペットとして、飼育していくつもりです」 その一方で、「アメリカザリガニが強いから、(他の水生生物の)生育場所がなくなるのは事実」と話していました。 ◇ 深刻な被害に悩むのが、福井・敦賀市にある中池見湿地です。 4000種以上の動植物が生息している場所ですが、約30年前に水面を覆っていた水草は今、消えてしまっています。 NPO法人中池見ねっと 藤野勇馬理事 「間違いなくアメリカザリガニの影響だろうと。ハサミで(水草を)切れちゃう」 鋭いハサミで水草を切られ、育たなくなるといいます。仕掛けたワナには1週間で20匹ほどのアメリカザリガニが入っていました。駆除により水草が生えるようになった場所もあり、ほかの生き物も増え始めているといいます。 東京の井の頭恩賜公園も同じように、ワナを仕掛けてアメリカザリガニを駆除しています。 東京都西部公園緑地事務所 永田雅之工事課長 「(アメリカザリガニの)規制が強まるということは、我々にとってもプラスになるのかなと」 というのも、過去にはミシシッピアカミミガメや、熱帯魚のプレコなど誰かが捨てたとみられる外来生物が見つかったことがあるといいます。 東京都西部公園緑地事務所 永田雅之工事課長 「アメリカザリガニは、ここにいた在来の生き物の生息場所を奪ってしまう。脅かすような生き物は池に放さないで」 環境省は、寿命を迎えるまで大切に飼ってほしいとしています。