襲いかかるクマ…花を摘む女性重傷、自宅敷地で午後3時に 目撃情報が倍増していた観光スポット周辺、警戒が続く クマいたら大声を出さず、走らないこと…ゆっくり後退し、その場を離れて
埼玉県小鹿野町両神小森で12日、住民女性(72)が自宅敷地内でクマに襲われ、重傷を負い、現場周辺では警戒が続いている。町と県は13日、「クマ出没注意」を呼びかける2種類の看板を同地区内に設置。小鹿野署はパトカーでクマへの警戒を促すアナウンスを行いながら地域を巡回した。本年度の町内のクマ目撃情報件数は、前年度と比べて倍増している。町は今後、地元猟友会などと連携し、住民らへの注意喚起を一層強めていく。 ツキノワグマ捕獲、体重80キロ…民家でコイのいけす荒らされ、わな設置していた 推定6歳で体長130センチ
同署や秩父消防本部によると、被害女性は12日午後3時ごろ、自宅の敷地内に植えていた花を摘んでいたところ、侵入してきたクマに襲われ、爪で顔などを引っかかれた。命に別条はないとみられる。県によると、県内のクマによる人的被害は、2018年10月に秩父市三峰の登山道で、登山者が襲われる被害が発生して以来となる。 今回の現場は、町役場がある市街地から西へ15キロほど離れた、標高約600メートルの山間にある集落。町によると、同地区内には現在4世帯が暮らす。キャンプ場や、県内で唯一日本の滝百選に選ばれている「丸神(まるがみ)の滝」が付近にあり、夏場は観光客が多く訪れる。 町産業振興課と県秩父環境管理事務所の職員は13日午前、クマが出没した現場付近と、林道入り口の計2カ所に、「クマがいたら大声を出さない・走らない。ゆっくり後退してその場を離れる」などの注意書きを添えた看板計4枚を設置した。今後も防災無線や広報などを通して、クマ対策の普及啓発を行っていくという。
同課によると、12日時点の町内のクマ目撃情報は、前年同期より7件多い14件で倍増している。両神小森では、7月に大谷橋付近で目撃情報が1件寄せられている。有害鳥獣による人的、農林作物被害を防止するため、町は今月から、西秩父猟友会に対し地域のパトロール強化や、有害鳥獣捕獲用わなの仕掛け設置などを依頼した。 両神小森地内で暮らす50代男性は「生息数が増えているのかは分からないが、ここ数年でクマやシカの出没は増えている」と話す。1年前には、自宅付近で体長130センチほどのクマと遭遇したという。「これまでは、クマの方から逃げていくケースが多かったため、今回のように、実際に住民を襲う事件が起きてしまうのは残念。クマもシカも、最近は人慣れや車慣れをしているので、再三の注意が必要」と、不安そうに語った。