フリーアナウンサー・神田愛花『かかってこい! 男性フリーアナたちよ!』
ウヒョー♫ 今年は男性アナウンサーのフリー転身報道が多いなぁ! ご自身で正式に発表した方から、スポーツ紙にすっぱ抜かれた方まで、局の看板アナとして活躍してきた男性アナのフリー転身報道が目立つ。例年、この時期は女性の局アナのフリー転身報道のほうが多く、既にフリーの女性アナたちは戦々恐々の日々。生きた心地がしないのだ。 【画像】個性あふれる神田愛花さんの直筆イラスト(1回~40回)はこちら That’s right. 私が完全にそう。女性アナのフリー転身報道が出るたびに、(嫌だなぁ、また一人、フリーが増えちゃった)とか、(自分とキャラが被っていない子だといいなぁ)とか。雲一つない冬晴れの空に向かって、(神様お願いです。今年はこれ以上、誰もフリーにしないでください!!)と、普段はまったく気に留めたことのないどこぞの神様に、急にヘコヘコとお願いをしている。 それだけではない。か弱くなった心に追い打ちをかけるように″◯◯アナのフリー転身で変わる!? 女性フリーアナのポジション相関図″といったネット記事も出る。自分の名前が出ていたら……と思うと怖くて読みたくないはずなのに、一応確認しなければという無駄な私のジャーナリズム魂がうずき、くまなく最後まで記事を読み漁ってしまう。これが、フリー転身報道がバンバン出始める1月中旬から、その方たちの出演番組が判明する3月31日まで、2ヵ月以上続くのだ。 この日々が本当に辛い。 だが今年は、前述の通り男性アナのフリー転身報道のほうが目立つから、例年ほど焦りや不安は感じていないのだ。それどころか、フリーになって丸12年となる今、初めて真逆の″燃える闘魂″とワクワク感を感じている。 私の分析では、女性のフリーアナで、アナウンサー本来の仕事ができている方は数えるほどしかいない。ほとんどの方は私と同様、タレントさんのような立ち位置でバラエティ番組で仕事をしている。しかし、男性フリーアナは、アナウンサーとしてMCをしている方がほとんど。タレントさんのような立ち位置で仕事をしている方は、見当たらない。 なぜなのか。単純に、女性フリーアナは飽和状態で、タレント化することが生き延びる道になっていることは、既知の事実だ。じゃあ男性アナも、飽和状態になったらタレント化すればよいのでは?と思うが、そう簡単にはいかない。 男性アナがフリーに転身する時の年齢は、女性アナよりもかなり高い傾向がある。アナウンサーは主に進行を勉強してきたので、フリートークの腕が求められるバラエティ番組では、共演者さんたちからのツッコミや同調などの手助けを頂戴して、ようやく輝ける人たちばかりだ。だが、手助けしたいと思っても、その対象が共演者さんたちよりも年上の、オジサンのベテランフリーアナだったとしたら? きっとどこまでツッコんでいいかわからず戸惑うだろうし、滲み出る″長年やってきました感″に気を遣うだろう。 その見えない壁を自ら取り払い、気兼ねなく共演者さんたちから絡んでもらうには、バラエティ番組を主戦場にしている女性フリーアナたちがこれまでしてきた以上に、無意味なプライドとはおさらばし、自分を改め、一から勉強し、なんとかしがみついていく努力が必要になってくる。 ◆アツアツおでんを食べてほしい! これからは、男性フリーアナも飽和状態の時代。私のような、バラエティ番組で仕事をしている女性フリーアナにとっては、ライバルが増えることになるだろう。 それでも、見てみたいのだ。タレントさんと同じ立場で頑張ると覚悟を決めた男性フリーアナが、バラエティ番組で活躍しまくっている姿を。どんな言葉選びやエピソードトークをして、共演者さんたちとどんな関係を築くのか。きっと女性フリーアナのそれとは全然違うはず。私は、その姿から新しい刺激を受け、学び、パワーアップしたいのだ。 MCの仕事なんて来ない、男性フリーアナウンサーの諸君! 私も経験させてもらった、アツアツおでんや全身タイツ、電気椅子や顔面パンストなどを、存分に経験するがいい! そして一日でも早く、タレントさんのようにバラエティ番組で活躍するフリーアナになっていただき、お互い底上げをしていこうではないか。待っているぞ! かかってきやがれコノヤロー! ハ――ハッハッハッ!!! かんだ・あいか/1980年、神奈川県出身。学習院大学理学部数学科を卒業後、2003年、NHKにアナウンサーとして入局。2012年にNHKを退職し、フリーアナウンサーに。以降、バラエティ番組を中心に活躍し、現在、昼の帯番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)にメインMCとしてレギュラー出演中 『FRIDAY』2024年2月23日号より 文・イラスト:神田愛花
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