「ぐじゅぐじゅうどん」を後世に 伝説の店「平田屋」の懐かしの味が約四半世紀ぶりに復活(島根・松江市)
山陰中央テレビ
12月、松江市に開店したこちらのうどん店。 かつて松江城近くで営業していた店の「伝説のうどん」が復活したと話題になっています。 その特徴は軟らかすぎる麺、人呼んで「ぐじゅぐじゅうどん」、復活の背景を取材しました。 12月、松江市向島町にオープンしたうどん店「想ひ出noふらた屋」。 Qどんなお味ですか? 東京から訪れた客: 「東京で食べるうどんよりコシが柔らかく、胃に優しい感じ」 地元の人: 「新しく出来ていると思って、懐かしいような味で美味しいな」 黄金色の関西風のだしに、そのだしをしっかり含んだお揚げ。 うどんとネギとかまぼこに、海苔がたっぷりトッピングされています。 見たところ、ふつうのうどんですが…。 嶋村采音アナウンサー: 「こちらが懐かしの味です。とても柔らかいです。うどん独特のコシは感じないですね」 箸でつまむと、ちぎれてしまう麺。 まさにふにゃふにゃ。 人呼んで「ぐじゅぐじゅうどん」です。 来店客: 「知人から何年も前から噂を聞いていて『歯が無くても食べられる』と。どれだけ柔らかいのか食べてみたくて来ました。評判通りでいいですね」 実はこのうどん、25年ほど前まで松江城近くで営業していた伝説のうどん店「平田屋」の名物を再現しました。 想ひ出noふらた屋・高橋涼奈店長: 「きっかけは、皆さんに懐かしい味を食べていただきたくて」 1998年、当時営業していた平田屋をTSKさんいん中央テレビの情報番組「週刊・ヤッホー!」で紹介していました。 週刊・ヤッホー!すやまとしおさん: 「これ一杯350円。お母さん、つるんつるん切れちゃうんですね、味ももちろんグーなのですが、奥さんと旦那さんの人柄が良くてみなさん来られるそうです」 1杯350円。25年前でも破格の安さ。店主と奥さんの人柄もあいまって昼どきには大勢の客が訪れ、近くの松江北高校の生徒からは「ソウルフード」として親しまれていました。 想ひ出noふらた屋・高橋涼奈店長: 「私も母から懐かしの味を教えてもらい、このうどんを再現したいと思いお店を開いたので」 多くの人に愛された平田屋の味。 高橋さんは大ファンだったお母さんのためにももう一度、よみがえらせたいとこの店を開きました。 想ひ出noふらた屋・高橋涼奈店長: 「美保関にそば吉さんといううどん店があって、レシピを教えていただき再現しています」 平田屋と同じように、やわらかいうどんを出す松江市美保関町の「そば吉」のレシピを参考に、お母さんと一緒に懐かしの味の再現を目指しています。 さらに…。 想ひ出noふらた屋・高橋涼奈店長: 「平田屋のお箸が短かったと業者さんから伺い、平田屋と同じ箸を使ってます」 こだわりは食器にも。 当時、平田屋で使われていたのと同じ箸を探し当て、その味わいを限りなく忠実に再現しました。 ただ「ぐじゅぐじゅうどん」で唯一再現できなかったのが値段。 昔懐かしい味を多くの子どもたちにも知ってほしいと高橋さんが用意したのが「みらいチケット」の仕組み。 高校生以下の子どもたちは、見知らぬ誰かが購入してボードに貼りつけたチケットを使って、無料で1杯食べることができます。 想ひ出noふらた屋・高橋涼奈店長: 「ぜひ、食べたことがない方もぜひ食べにきて頂けたら嬉しいです」 味覚を通じて街の記憶を未来につなぐ、復活した「ぐじゅぐじゅうどん」には、高橋さんのそんな想いも込められていました。
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