メキシコ大統領、「関税宣言」トランプ氏に強く反論 報復関税も示唆
メキシコのシェインバウム大統領は26日、トランプ次期米大統領が前日に表明した関税引き上げに反論する書簡を公開した。シェインバウム氏は「関税に対抗して別の関税が課されることになる」と報復関税の可能性も示唆し、両国の企業活動にリスクをもたらすと警鐘を鳴らした。 【写真】メキシコ市で2024年10月1日、演説を行うシェインバウム大統領=AP シェインバウム氏は書簡の中で、メキシコ内に工場を構える米自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)やフォードなどが、米国への主要な輸出企業だと指摘。トランプ氏が打ち出した25%の関税について「彼ら(メーカー)を危険にさらすような税金で容認できない。米国とメキシコにインフレと雇用喪失をもたらす」と訴えた。 トランプ氏はまた、メキシコを経由して米国に入る合成麻薬「フェンタニル」の取り締まりを求めている。シェインバウム氏は麻薬対策を講じているとした上で、フェンタニル製造に関わるメキシコの麻薬組織などの武器の多くが米国から密輸入されていることを指摘。「残念なことに、我々はあなたの国(米国)の麻薬需要を満たすため(麻薬組織による)犯罪で命を落としている」と訴えた。 その上でシェインバウム氏は「トランプ大統領、移民の現象や米国での麻薬使用に対処するのは、脅迫や関税ではない。協力と相互理解が必要だ」と呼びかけた。書簡は今後トランプ氏に送られるという。(サンパウロ=軽部理人)
朝日新聞社