『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』主演!村瀬 歩×梶 裕貴「ライバル以上に惹かれあう二人」
現在、絶賛公開中の『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』。主演の日向翔陽役・村瀬歩さんと孤爪研磨役・梶裕貴さんが、作品から得た「学び」や「経験」とは? 【画像】『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』公開記念!『ハイキュー!!』名言集
ライバル以上に惹かれあう日向翔陽×孤爪研磨 ―対照的な二人
■お互いの演技に影響され、気持ちが乗っていく 『ゴミ捨て場の決戦』は、日向翔陽の通う仙台・烏野高校と、孤爪研磨の通う東京・音駒高校の因縁の試合。アツくて元気な日向と、クールで頭脳派な研磨は友達でありライバルという関係。互いへの想い、収録中の熱量は実にアツいものだった。 村瀬歩(以下村瀬) 劇場版になると聞いたときは、「ついにこの試合を演じられるんだ!」という嬉しさと、映画館というリッチな環境で臨場感が増すことでまさに「待望の一戦」になるだろうなと、気が引き締まる思いもありました。 梶裕貴(以下梶) 音駒高校の孤爪研磨を演じる僕としては、「この試合をやらずには終われない!」という気持ちがあったので、嬉しさはひとしおでした。物語の序盤から烏野高校と音駒高校の因縁は描かれていましたし、研磨自身にとっても、翔陽との出会いで生まれた大きな変化の集大成が、この試合だと思っていたので。 村瀬 アフレコ中の梶さん、すごかったです。そもそも台本が4冊もあったんですけれども(笑)、その中で研磨が試合中に徐々に温まっていく感じ、より思考が鋭くなっていく感じが、グラデーションで見えて。僕が演じる翔陽は、試合の最初からギアマックスでびょんびょん跳ねてたりするから、全然違う。 梶 いやいや(笑)。正直、僕も翔陽みたいに「シャァアア!」「オラァ!」とか言いたい衝動とずっと戦ってたよ(笑)。研磨はそんなキャラじゃないから、頑張って抑えてたけど。 村瀬 そうなんですか?(笑) 「やっぱ、梶さんすげえな! うまいな!」って視聴者のように見てしまいました。 梶 僕も、村瀬くんのお芝居があったからこそ、研磨の気持ちをつかめた部分があったように思います。翔陽のこのセリフ、この動き、このおたけびを聞いて、今まで持っていなかった「熱」「意地」「勝ちたい気持ち」が研磨に生まれていったんだろうな、と。 ■大人は「“もう一回”がない」の連続かもしれない 梶 僕は、感情を内に抑えて抑えて、いかに必要なところで研磨らしくはき出すか、ということをすごく考えていましたね。いつも元気で動きまくり、感情丸出しの翔陽と冷静に、ロジカルにプレーする研磨。そんな対照的な二人だからこそ、『ゴミ捨て場の決戦』はドラマになるし、キャラクター同士も、ライバルである以上に惹かれあう部分があるだろうなと感じています。 村瀬 そういえば、アフレコ自体も、なんだか試合みたいじゃなかったですか? 梶 丸一日がかりのアフレコの中で、どう集中力を切らさずにいるか、っていうのは、確かに試合に通じるところがあったかもね。 村瀬 もちろん最後まで全力を出すけど、僕らも人間だから疲れも出てくる。その中で、お互いの演技をつなげていくぞ! バテてる中でも集中力上げてやる!という気持ちは、まさに試合。 梶 ある種の合宿感もあった(笑)。 村瀬 最後は疲れてきて、試合中の日向みたいに「(どうしたら集中が途切れないか)考えろ、考えろ」と思考していました。そしたら「これだ!」とハッと気づいて……栄養ドリンクを買いに行ったんですよね(笑)。30本くらい。みんなの分。 梶 ドーピングで解決!(笑) 村瀬 いや、栄養ドリンクが結束を深めてくれたんですよ! 「飲みましょう!」って配ったら、みんなが飲んでくれて。田中龍之介役の林勇さんなんて「はい、飲みまーす!」ってガバガバ飲んでくれた(笑)。なんだか、試合のラスト感がありましたよ。 梶 最後の踏ん張りの、その向こう側。 村瀬 そう。そして録り切ったら、謎のエモさが生まれるという。 梶 まさにアフレコって、この映画のキーワードでもある「“もう一回”がない試合」かも。だからエモさも感じられたのかな? 村瀬 そうですね。最高のアニメ、最高のシーンを録るためには、まさにそのときに惜しみなく全力を出すしかないんです。そこまで積み上げてきたものと、その瞬間で生まれる集中力とがつくり出す雰囲気は、その「一回」しかなかったりする。この映画に限らず、いや、声優という仕事に限らず、誰にだってそういう瞬間ってきっとたくさんありますよね。僕ら大人も「“もう一回”がない」という状況って実は多いんじゃないかと思います。 梶 僕にとって『ゴミ捨て場の決戦』は、「“もう一回”がない」アフレコの最たるものだったのかもしれません。自分が『ハイキュー!!』という作品に深く関われるのは、きっとこの劇場版が最後。だからこそ、集大成のつもりでこの収録に挑みました。 村瀬 長時間に及んだアフレコの中、コンディションもくずれかけてきた最後の最後で、研磨と日向の心が大きく動いたことがわかる、名シーンを演じたんですけど、僕も全力で集中して臨みました。 梶 アフレコの話ばかりしてしまいましたが、物語自体の「“もう一回”がない」のリアルさも、もちろん素晴らしくて。『ハイキュー!!』は人間ドラマ。きれい事だけじゃないリアリティーを、エンタメとして見せてくれる作品だと感じています。彼らと近い年頃の子たちだけでなく、かつて学生時代を過ごした大人たちも、間違いなく共感し、楽しめる作品に仕上がっていると確信しています。