JKC(全日本フルコンタクト空手コミッション)が滋賀・比叡山で強化合宿を行った理由とは
~立教大2年の新里誠光はJKJO全日本とインカレの二冠王
合宿に参加した1人が立教大2年の新里誠光(ニッサトマサミツ)。昨年は第15回JKJO全日本空手道選手権大会での一般男子軽量級に加え、第2回インカレ男子軽量級も制した「二冠王」だ。 「父と兄がやっていた影響で5歳で空手に出会いました。空手を含めて格闘技が好きだったので、始めてからはどっぷり浸かった感じ。強くなりたいので練習を続けています。今は東京都の武立会館という道場に通っていて、インカレは在学する立教大で出場しました」 JKCの積極的な動きが新里にはプラスに作用しているようだ。インカレでは大学王者を獲得、今回の合宿参加で更なる成長も見込まれる。 「インカレも合宿も、普段とは違う世界を経験できて楽しい。年齢も異なる選手と接することで技術、精神の両方で刺激を受けました。練習以外でも空手への向き合い方などが見られて参考になることが多かったです」 「負けないという強い気持ちが重要ですが、同時に冷静さがないとダメ。気持ちだけが先走ると普段の技術が発揮できません。常に冷静に相手の動きを感じながら自分の技を出す。他の強い選手もそのような感じで、今後も大事にしたいと改めて思いました」 5月25-26日にはJFKOの第9回全日本フルコンタクト空手道選手権大会(大阪)が行われる。WFKO世界大会の日本代表選抜戦となり、結果を出しての代表入りも狙っている。 「日本代表にはなりたいですが、まずは1つずつ目先のことを大事にしたい。1つずつ結果を出したその先にあるのがタイトルや日本代表です。常に冷静な気持ちを持ち続けることが試合内容向上や結果にも直結するはずです」
~KWF欧州王者の経験もある酒井琉翔はJKJO全日本連覇を目指す
合宿参加した女子選手中で注目度が高いのは21歳の酒井琉翔。JKC酒井代表の実娘は、第12、13、15回JKJO全日本空手道選手権大会優勝。また第31回KWF全ヨーロッパ極真空手道選手権大会優勝など、国際舞台での実績もある。 「空手一家に育ったので競技を始めたのは自然の流れだったと思います。子供の頃は『他のことをやりたい、空手を辞めたい』と思ったことも多々ありました。でも今は空手が大好きでもっと強くなりたいと思っています。(好きになったのは)いつの間にかでした」 普段は社会人として仕事をした後、週2日、道場へ足を運ぶ。道場生への指導をした後に自らの練習を行い、その他の日は自主トレに打ち込むという。 「指導を任されている立場でもあるので、自分自身が結果を出すことの必要性も感じます。教わっている師匠が日本一の選手ならば、選手たちも誇りに感じてくれるのではないでしょうか。もちろん空手へのモチベーションにも繋がるはずです」 「(勝たないといけない)プレッシャーも毎年のようにあります。そこの気持ちは今後も変わることはないのではないでしょうか。モチベーションを保つことは大変ですが、合宿ではそういう部分も他選手から参考にできればと思っていました」 「比叡山合宿は刺激があって楽しかった」と振り返る。普段は話したことない選手とも空手を通じて思いを交わし合うことができた。また技術、精神の両面で現時点の自分を見つめ直す機会にもなった。 「例えば、臼井氏からのお話の受け取り方に以前と変化がありました。気持ちの作り方等、基本部分を改めて思い出させてもらった気がします」 5月のJFKOに続き、9月には連覇がかかるJKJOも控える。女子の第一人者となった現在、気を抜く暇もないほど忙しい年になりそうだ。 「全力で戦って全ての試合で勝ちたい。そうすれば世界選手権出場ができて連覇もできます(笑)。今の課題は状況に応じて組み手を変えるなど、うまさも出すことです。冷静さを常に持っていられれば、そういった次の段階に進めると思います」