ファイナンスとは何か? その1 主要な金融用語やファイナンスの機能について解説
ファイナンス(Finance)とは「金融」と訳しますが、単なるお金の貸し借りを示すものではありません。 ファイナンスには、金銭の借り入れ、貸し出し、投資、資本調達、および証券の売買や取引が含まれます。金融活動の目的は、企業や個人が現在の特定のプロジェクトや活動へ資金を投入することにより、それらのプロジェクトや活動がもたらす成果を通じて将来の資金回収により利益を上げることです。 ファイナンスがなければ、人は家を購入することが難しくなります(全額現金でマイホームを買うことができる人はごくわずかです)。また、企業が成長したり、売り上げを拡大したりすることも困難になります。ファイナンスとは、最も効率的に資金を配置する方法ということができます。
間接金融(indirect Finance)と直接金融(direct Finance)
間接金融とは、資金供給者と資金の需要者が直接相対せず、金融機関などを通じて貸借取引を行うことをいいます。これに対して、直接金融とは、資金の需要者と供給者が条件を直接交渉しながら貸借や投資を行うことをいいます。 前者の取引の代表的な形態は、銀行借入です。間接金融のメリットは、資金の供給者から見ると、銀行が自らの判断と責任において融資してくれるので、資金需要者の信用リスクを気にすることなく資金の借り入れを行えることです。 後者の形態は、債券や株式を発行し資金を調達することを指します。直接金融の場合、資金の供給者=投資家は投資の責任を全て負担しなければなりませんが、銀行預金に比べ、高利回り・高リターンが得られる可能性があります。しかし、そのためには、債券や株券などの投資手段に関する知識や経験が求められます。
主要な金融用語
ファイナンスで使われる主要な用語は以下のとおりです。 資産(Asset): 現金、株式、不動産など財産として価値のあるものを指します。資産の性格により、流動資産と固定資産に分けられます。 負債(Liability): 買掛金、借入金などの財務的な義務を指します。負債は短期的なものと長期的なものに分類されます。 貸借対照表(Balance sheet): 企業の財務状況を示すもので、総資産、負債、資本を表示します。負債を総資産から差し引くことで、企業の純資産が分かります。 キャッシュフロー(Cash flow): 企業や家計におけるお金の出入りを指します。 複利(Compound interest): 元本に対してのみ利息が生じる単利と異なり、元本に一定期間の間に生じた利息を加えて利息を計算する方式をいいます。これにより、元本だけでなく既に発生した利息にも利息がかかります。 株式(Stocks): 企業の所有権を示す証券で、株主がその企業に対する所有権を持つことを示す書類です。株式は通常、公開市場で取引され、投資家は株式を購入して企業の所有権を取得し、株価の変動に応じて収益を期待することができます。 債券(Bonds): 政府、企業、または他の団体が資金を調達するために発行する債務証券です。債券購入者=投資家は、発行者が元本を返済することと債券利息を支払うことを前提に投資をします。 ポートフォリオ(Portfolio): 投資家が所有する全ての金融資産の集合体をいいます。ポートフォリオは通常、異なる資産クラス(株式、債券、不動産など)から成り立ち、リスク分散を考慮しながら管理されます。 リスク(Risk): 投資や金融取引において、損失が発生する可能性のある不確実性を指します。リスクを管理するためのさまざまな戦略とツールが存在し、投資家はリスクを最小限に抑えることを目指します。 流動性(Liquidity): 資産が現金に変換されやすいかどうかを示す度合いを指します。例えば、不動産は売却には数週間または数ヶ月かかることがあるので、流動性は高くありません。これに対し上場株式は即日換金が可能なので、流動性の高い投資ということができます。 利益(Profit): 売り上げから経費を差し引いた後に残るお金です。損益計算書は、特定の期間にビジネスがどれだけ利益または損失を出したかを示します。
ファイナンスの機能
ファイナンスに関する情報は非常に幅広く、ビジネス、個人、および社会全体に影響を与える重要な指標となります。ファイナンスへの基本的な理解は、資金調達、投資、リスク管理、資産評価、お金の時間価値など、幅広い経済的意思決定に役立ちます。 ファイナンスは経済学、会計学、投資、お金に関連するさまざまな分野と密接に結びついており、その知識を持つことはこれらの分野の理解にも役立ちます。 その2では、ファイナンスの種類について解説したいと思います。 執筆者:浦上登 サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部