長崎県南島原市深江町の道の駅「ひまわり」にサテライトオフィスを整備する事業が頓挫した問題で、南島原市議会は１日の本会議で、補助金の不透明な流れなどを調べるため、地方自治法１００条に基づく調査特別委員会（百条委員会）の設置を全会一致で可決した。同市議会での設置は初めて。 　サテライトオフィス事業を巡っては、資材や人手不足を理由に工事が遅れ、事業者のエバーグリーン（佐世保市）が廃止を届け出た。市が支出した補助金９千万円は返還されていない。 　補助金がエバーグリーンではなく、福岡市の施工業者に一括で概算払いされるなど不透明な資金の流れが指摘されている。強い調査権がある百条委で実態を解明し、市幹部らの責任の有無を追及できるかどうかが焦点となる。 　百条委は議員９人で構成。委員長は隈部和久議員（向日葵（ひまわり））、副委員長は田中克彦議員（新風南島原）が務める。今後、調査項目や喚問する証人の選定を決定し、来年３月をめどに報告書をまとめたい意向だ。 　松本政博市長は「市としても補助金返還のために法的な手続きを進めていくが、百条委に対しても正直に誠実に説明責任を果たしていく」と述べた。 　サテライトオフィス事業を巡り、市議会は今年７月に調査特別委を設置。ひまわりを運営していた企業の親会社であるエバーグリーンに、山口周一副市長と市職員が計３千万円を個人融資していたことが明らかになった。 　市議会は１日の最終本会議で、サテライトオフィス事業に対する補助金支出の過程に疑義があるとして、２０２３年度の一般会計歳入歳出決算を不認定とした。不認定は市が０６年に発足して以来初めて。