2得点に絡む活躍!決勝の主役は河南MF上出晟也
決勝の舞台となったのはインターハイ予選など各種大会の主要試合で使用されるJ-GREEN堺のS1ピッチ。約3,600人が収容可能なスタンドを備えた天然芝のピッチでプレーできるとあって、燃えないわけがない。 【フォトギャラリー】大冠 vs 河南 選手がはつらつとした表情で駆け回る中、ひと際目を惹いたのは河南のMF7上出晟也(2年)。「この舞台でプレーできるのはテンション上がりました。絶対に勝ってやろうって。このコートでできるのは今後あるかないか分からないので、優勝を目指してプレーしました」。そう振り返る男は2得点に絡む活躍を見せて、決勝の主役となった。 「左利きで縦が破れるし、中に入ってもプレーできる。プレーの幅が広い」。河南の竹田央監督が評する上出は右サイドに位置する左利きのドリブラー。本来は中にカットインしていくプレーを得意にするが、この日は「相手が中を切ってきていたので縦で勝負しようと思っていた」と積極的にコーナーフラッグを目掛けて仕掛けていく。 前半20分には右サイドを抜け出し、MF6牧野響幹(2年)のシュートをお膳立てしたが、ボールは枠の外に終わる。続く25分にも再び見せ場が訪れる。オーバーラップしたDF2明星凛空(2年)との連携で右サイドを崩した上出は、ゴール前に展開。「あのプレーはミス。クロスではなくシュートだったけど、反対サイドに抜けていった」と本人は振り返るが、上手くファーサイドのMF10佐藤和善(2年)に渡り、シュート。こぼれ球を牧野が押し込み、均衡を崩した。 後半に入ってからは左サイドにポジションチェンジ。久しぶりに入った位置だったが、「先生(竹田監督)から言われていたのですが、中に上げて合わせて貰おうと意識していました」と話すように緩急をつけたドリブルから左足クロスを上げて、チャンスを伺う。後半13分にはチームメイトが奪った右CKに名乗りを挙げると、ゴール前に絶妙なクロス。「良いボールを蹴れば中に合わせてくれるかなと思っていた」という浮き球をDF18成田隼(2年)が合わせて、再びリードを奪うとそのまま2-1でタイムアップを迎えた。 中学時代は堺市の公立中学でプレー。私立高校への進学も頭に入れていたが、「公立高校で強いチームを考えた」結果、河南の門を叩いた。持ち前のドリブルを武器に1年次から出場機会を掴みつつも、課題だった右足での強化にも励んできた。高校入学後の成長は著しく、「中学の時は1対1で凄く抜けるタイプではなかったけど、高校に入ってからは抜けるようになった」と口にする。 「今大会、やれたなという感覚はあります。初戦から得点に関わる回数が普段の試合より多かったし、多くボールに関わることができていた」と振り返る通り、迎えた最終学年はそう簡単に止められないドリブラーへと進化を遂げている。“公立高校にもこんなタレントがいるんだ”と思わせてくれる楽しみな選手で、大学でもサッカーを続けるつもりでいるという。 「今大会で自信が付きました。これからあるインターハイや選手権でも1部の強いチームに勝って行きたい」。そう意気込む上出は、2024年の飛躍を狙っている。 (文・写真=森田将義)