定期的に預金をして子どもや孫に残してあげたい…… 親や祖父母が口座を開設する場合の注意点は?
親や祖父母が子どもや孫の名義で口座を開設し、預金を行うことは一般的です。しかし、口座開設に伴う注意点を理解していない場合、将来的には親・祖父母、子ども・孫の双方に不都合が生じる可能性があります。本記事では、親や祖父母が子どもや孫名義の口座を開設するメリットや注意点について詳しく解説します。
子どもや孫名義の口座を開設するメリット
親や祖父母が、子どもや孫名義の口座を開設するメリットを理解しておけば、開設後もその口座を効果的に活用できる可能性が高まります。本項では、親や祖父母が子どもや孫名義の口座を開設するメリットについて見ていきましょう。 ■管理がしやすい 親や祖父母が、子ども名義で口座を開設することによって、お金の管理がしやすくなります。 例えば、教育費を貯める場合に生活費と同じ口座だと管理が複雑になり、口座内のどこまでが教育費なのかを計算しなければならなくなるでしょう。そこで、子ども名義で口座を開設していれば、生活費と教育費は明確に区分けされるため、金額を一目で確認することができます。 ■お金の教育のきっかけとなる 子ども名義で口座を開設し、お小遣いやお年玉、誕生日などでもらう祝い金などのお金を、子どもと一緒に口座に振り込み、通帳などで推移を見せることはお金の教育のよいきっかけとなります。お金の増減がはっきりと分かるため、子どもはお金の大切さを理解するでしょう。
子ども名義の口座を開設する際の注意点
親や祖父母が子ども名義で口座を開設する際、贈与税や相続税の対象になる可能性があるため、注意が必要です。また、口座を長期間にわたり放置していると、休眠口座として扱われる可能性があります。 このような注意点を事前に把握しておくことで、適切な対策を講じることが可能です。本項では、子ども名義の口座を開設する際の注意点について見ていきましょう。 ■贈与税の対象になる場合がある 子ども名義で口座を開設し、年間の入金が110万円を超える場合、贈与税がかかる可能性があることに注意してください。贈与税の基礎控除は年間110万円となりますので、贈与税の発生を回避するためには、子どもの口座への入金額と他の贈与額を合わせて年間110万円以下に抑える必要があります。 ■相続税の対象になる場合がある 親や祖父母が子ども名義の口座に入金している場合、相続の際に「名義預金」とみなされる可能性があります。名義預金とは、口座の名義人と実際のお金の所有者が異なる預金口座のことで、相続財産とみなされるため相続税の課税対象となります。 名義預金とみなされる主なケースは、以下のとおりです。 ・預金の資金源が被相続人である場合 ・預金を管理しているのが被相続人である場合 ・名義人(または親権者)が預金の存在を知らなかった場合 ・名義人(または親権者)が贈与を受けた自覚がない場合 このような状況を回避するためには、孫自身が直接入金や管理を行うなどの対応が必要です。 ■10年以上利用しないと休眠口座になる 子ども名義の口座を開設しても、10年以上利用しない場合、その口座は「休眠口座」として扱われることになります。 休眠口座に指定されると、ATMでの利用が制限されるため、注意が必要です。口座を利用する場合には、金融機関の窓口で手続きを行う必要があります。休眠口座にならないよう、一定期間ごとに入金するなど心掛けましょう。 ■子どもが成人した後は親や祖父母の利用に制限がかかる 子どもや孫が成人したら、親や祖父母がその口座を利用するには委任状が必要になります。また、成人した子ども自身も、自分の口座で親や祖父母が勝手に振り込みや出金を行うことを好まないでしょう。子どもが成人したら、すべての取引を行うよう引き継ぎましょう。
名義預金には贈与税がかかる可能性があることも考慮しておこう!
親や祖父母が子どもや孫名義の口座を開設することは、お金の管理がしやすくなり、同時に子どもにお金の教育をするよいきっかけとなります。ただし、贈与税や相続税の対象となることもあるため、注意が必要です。また、口座を長く放置しないように気をつけましょう。 このような点に注意して子ども名義の口座を開設・活用することで、将来的な負担を回避できるでしょう。 出典 国税庁 贈与税がかかる場合 税務署 相続税のあらまし 金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか? 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部