自費解体につなぎ資金 石川県の利子助成制度 10日開始、実施済みでも遡及適用
石川県は10日、能登半島地震で被災した家屋の自費解体を推進するため、所有者が金融機関から借り入れた資金の利子を全額助成する制度を新設する。利率や助成額に上限はなく、すでに借り入れた分、返済済み分についても遡及(そきゅう)して対象とする。奥能登豪雨の影響で市町による公費解体の進捗に遅れが生じていることから、財政面での負担を抑えて復旧作業のスピードを上げる。 自費解体は、被災者がいったん費用を立て替え、後で市町から払い戻しを受ける仕組み。払い戻しには2カ月ほどかかるため、その期間の利子は被災者が負担していた。新たな助成制度では、最大5カ月分の利子を給付することで、被災者の持ち出しをなくす。 公費解体を巡っては、豪雨で解体に使う重機が水没したり、土砂に埋まったりして使えなくなったほか、道路の通行止めが発生するなどで作業を中断せざるを得ないケースがあったという。 ●公費解体目標下回る 9月末時点の完了数は5096棟で、この時点での目標数を336棟下回った。解体想定数に対する完了率は15・7%で、目標の16・8%に届かなかった。 市町別の累計完了数は、珠洲市の1681棟が最も多く、輪島市の874棟、穴水町の621棟と続いた。最も少ないのは七尾市の421棟となっている。 自費解体は9月末時点で585棟となった。9月の解体数は前月比13棟増の114棟となり、徐々に増えているという。 県は制度創設に合わせ、自費解体に関する相談窓口を県工務店協会と県構造物解体協会に作る。手続きや必要経費などの問い合わせに応じるほか、被災者に解体業者を紹介する。県ホームページでは、自費解体資金に活用できる融資商品を用意する金融機関を掲載している。 9日、県庁で会見した馳浩知事は「制度創設によって、自費解体の加速化を図る」と述べた。