最高裁長官が「マッカーサー駐日米大使に判決内容をリーク」…アメリカの機密文書が明らかにした”あの事件”の「衝撃の顛末」
東京地裁で行われる奇妙な選挙
この例を、前記のようなより小さな例と比較してみていただきたい。明らかに同根の問題であることがおわかりになるだろう。 これらよりは罪が軽いが、やはり首をかしげるような裁判所組織のあり方を示すものとして、東京地裁で行われている所長代行判事等の奇妙な選挙についても書いておこう。 東京地裁の所長代行判事は、前記のとおり、民事、刑事にそれぞれ2名ずつ置かれていて、各第一代行については司法行政だけに専念するという点が、通常の地裁の場合とは異なる。その選挙とともに、常置委員(裁判官の中から選ばれる、司法行政に関わる常置委員会の構成員。民事、刑事各5、6名程度)の選挙も行われている。 なお、司法行政についてここで少し説明しておくと、本来、それは、裁判所法によって、最高裁判所を始めとする各裁判所ごとに設けられている裁判官会議の議によるものとされている。 しかし、現実には、本来裁判官会議で決められるべき多くの重要事項が、最高裁のトップである最高裁長官、高裁のトップである高裁長官、地裁、家裁のトップである地家裁所長、また、前記のような常置委員で構成される常置委員会に移譲され、裁判官会議の実体は完全に形骸化しており、これが事務総局による裁判官支配、統制の基盤となっているとの指摘が、昔から行われている(現在では、裁判官会議の権限の一部が委譲された常置委員会の審議も、裁判官会議の審議同様に形骸化している)。 『「当選結果は最初から決まっている」…元裁判官が「無意味」と一蹴した、いい加減すぎる『選挙制度』の実態』へ続く 日本を震撼させた衝撃の名著『絶望の裁判所』から10年。元エリート判事にして法学の権威として知られる瀬木比呂志氏の新作、『現代日本人の法意識』が刊行されます。 「同性婚は認められるべきか?」「共同親権は適切か?」「冤罪を生み続ける『人質司法』はこのままでよいのか?」「死刑制度は許されるのか?」 これら難問を解き明かす共通の「鍵」は、日本人が意識していない自らの「法意識」にあります。法と社会、理論と実務を知り尽くした瀬木氏が日本人の深層心理に迫ります。
瀬木 比呂志(明治大学教授・元裁判官)
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