被災地復興の願い込め日本酒「絆舞」仕込み 福島県会津坂下町の曙酒造で 全国260地域のコメ使用
地域連携と被災地復興応援を目的に47都道府県のコメを使って造る日本酒「絆舞(きずなまい)」の仕込みが19日、福島県会津坂下町の曙酒造で行われた。東日本大震災や能登半島地震からの復興に向けた思いを込め、全国の信用金庫関係者らが作業に臨んだ。12月3、4の両日に東京都の東京ビッグサイトで催される「〝よい仕事おこし〟フェア」の開会式で鏡開きをする。 絆舞などを造る「興(お)こし酒プロジェクト」は城南信金(本店・東京都品川区)が事務局を務める同フェア実行委員会の主催で、8年目。福島民報社が特別協力している。各信金のネットワークを活用して米を集めており、今年は260地域で取れたコメを原料に用いる。 純米大吟醸の火入れ酒「佳酔(かすい)」、生酒「爽酔(そうすい)」、大吟醸「芳酔(ほうすい)」、水の代わりに酒で仕込む貴醸酒「極酔(ごくすい)」の4種類合わせて約1万本(500ミリリットル入り)を造る予定。売り上げ1本当たり100円が災害復興支援のために寄付される。今回の仕込みでは、ふかしたコメをタンクに運び入れてかき混ぜる作業を行った。
曙酒造の鈴木孝市社長は「東日本大震災の時はさまざまな絆に助けられた。次は我々が何かをする番だ。絆舞を通じて多くの人を笑顔にしたい」と語った。 ■石川県七尾市の書家・三藤さん揮毫 ラベルの書も披露 仕込み前にセレモニーが行われ、石川県七尾市の書家で願正寺元住職の三藤観映(みつふじ・かんえい)さんが揮毫(きごう)した絆舞のラベルが披露された。 三藤さんは真宗大谷派の元門首の書道相談役を28年間にわたって務めた。2022(令和4)年、脳卒中で倒れ、右半身に障害が残ったが左手で書の特訓を開始。現在では大きな字であれば右手でも書けるまでになった。 のと共栄信金(石川県)の鈴木正俊理事長が佐藤宏隆副知事に書を手渡した。三藤さんが城南信金の川本恭治相談役に宛てた手紙を鈴木理事長が代読し、「『絆舞』を右手で書くという私自身の復興の機会を与えてくれた」という感謝の思いが伝えられた。 セレモニーでは実行委員会を代表して林稔城南信金理事長が「全国の信金の絆で日本を明るくしたい」と述べた。佐藤副知事、古川庄平会津坂下町長があいさつした。福島県関係の信金からは、会津信金の添田英幸理事長、ひまわり信金の上條博英理事長、福島信金の梅津実明専務理事、あぶくま信金の藤村武志常務理事らが参加した。福島民報社の安斎康史常務が出席した。