財務長官、金融界から登用か マスク氏処遇、ライトハイザー氏復帰も トランプ次期政権
【ワシントン時事】トランプ次期米大統領が経済閣僚の人選に着手した。 経済・財政政策の要となる財務長官は、金融界からの登用が取り沙汰されている。関税政策や輸出規制を担う通商代表や商務長官も焦点。トランプ氏は選挙戦で、行政の効率化を図る新組織を立ち上げ、米実業家のイーロン・マスク氏をトップに起用する考えを示している。 英紙フィナンシャル・タイムズによるとトランプ氏は、前政権で米通商代表部(USTR)代表を務めたロバート・ライトハイザー氏に同職への復帰を打診した。政権入りすれば、10~20%の一律関税や、60%の対中追加関税導入などの通商政策に関わる。 ライトハイザー氏は、自由貿易が米国の製造業を衰退させ、雇用を奪ったと批判。貿易不均衡の是正を重視する対中強硬派だ。前政権では対日貿易赤字を問題視し、日本に市場開放を迫った。鉄鋼業界に近いことでも知られる。 米メディアによると、対中半導体規制や製造業再生などの産業政策を取り仕切る商務長官には、政権移行チームの共同議長を務める元中小企業局長官のリンダ・マクマホン氏の名前が挙がる。 財務長官には、著名投資家ジョージ・ソロス氏の側近だったスコット・ベッセント氏や、政権移行チーム共同議長の資産家ハワード・ラトニック氏らが浮上。信用力の低い借り手向けのサブプライムローン問題を予言し、大金を稼いだ著名投資家ジョン・ポールソン氏も有力視されている。ライトハイザー氏が財務長官のポストに関心を寄せているとの報道もある。 トランプ氏は前政権時に政権幹部の人材不足に苦しんだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、今回は多くの実業界の有力者が幹部に手を挙げているという。