米最高裁、「トランプは小さすぎる」商標認めず 発端の論争とは
米連邦最高裁は13日、「トランプは小さすぎる」というスローガンの商標登録を認めない判断を示した。商標で他人の名前を使用する場合は許可を得る必要があり、特許商標庁は登録申請を退けたが、原告が「言論の自由」に基づいてトランプ前大統領を批判するのは容認されると訴えていた。スローガンにはトランプ氏を性的に侮蔑する意図も込められているが、最高裁はこの点には踏み込まなかった。 【図表】歴代の米大統領、一番人気なのは 商標登録を認めない判断は9人の判事全員の一致意見で、「商標権を主張できるのは自分の名前についてだけだ」との原則を根拠とした。原告はスローガン入りのTシャツや帽子を作っており、商標登録を認めるよう要求。被告の特許商標庁側は「スローガンを使うのは自由だが、政府が商標登録によって（権利を）保護する必要はない」と主張していた。 「トランプは小さすぎる」というスローガンには、トランプ氏の人権軽視の姿勢への批判とともに、2016年の大統領選での低俗な論争をからかう意図も込められている。 当時初当選を目指していたトランプ氏は、共和党候補争いでライバルのルビオ上院議員を「ちびのマルコ（・ルビオ氏）」と中傷していた。これに対して、ルビオ氏は選挙集会で「彼の手は、もっと身長が低い人のように小さい。手の小さい男性というのが何のことか分かるよね」と発言。「手が小さい」は「性器が小さい」の意味で使われることがあるのを念頭に皮肉った。 トランプ氏はその後の討論会で、両手を広げてカメラに見せながら「この手が小さいだって？ 彼は『他のものも小さい』と示唆したが、私は何の問題もないと保証する」と反論していた。 トランプ氏は16年大統領選で初当選した。20年に落選したが、今年11月の大統領選で返り咲きを目指している。7月の党全国大会に向けて副大統領候補の検討を進めているが、当時激しく論争したルビオ氏も有力候補に挙がっている。【ワシントン秋山信一】
