熊本市庁舎の建て替え巡る住民投票条例案、市長が反対 市議会運営委で表明「熟議重ねてきた」
熊本市の本庁舎建て替え計画を巡り、市民団体が住民投票で賛否を問うよう大西一史市長に条例制定を直接請求した問題で、市議会議会運営委員会が7日開かれ、条例案の審議日程などを決めた。大西市長は「市民の負託を受けた議会と6年以上の熟議を重ねてきた。今後も広く市民の意見を聞きながら進めるので、条例制定は必要ないと考える」として反対の意見を述べた。 【写真】現在の熊本市役所 大西市長は議運後、記者団に1万8988人分の署名を添えて直接請求された点を問われ「見解の相違があるのは理解しているが、アンケートや説明会などを通して意見交換もしてきた。今後もワークショップなど市民の意見を聴く機会を得たい」と説明した。 議運は臨時議会を14日開会、17日までの4日間とし、条例案の審議を総務委員会に付託、請求者側は5人以内で計30分間、意見を述べられることを決めた。採決は17日。 活動してきた市民団体の西川文武代表は「これまでの説明会では意見する時間が限られていた。2万人近い市民が署名した請求を市長が提案前に否定するのはいかがなものか。重みを理解していないのではないか」と疑問を呈した。 計画を巡って市は、本庁舎を中央区桜町のNTT西日本桜町ビル跡地、中央区役所を同区花畑町の花畑町別館跡地に建設する方針。市の財政負担を軽減できる合併推進債の活用期限が今年3月に迫っていることから、2024年9月の定例会に建て替えに向けた基本計画、基本設計、実施設計の一括業務委託に関する議案を提案。議会は原案通り賛成多数で可決した。 地方自治法によると、住民投票条例制定の直接請求を受け、市長は20日以内に議会を招集、意見を付して条例案を提案する。賛成が過半数になれば成立する。可決されても法的拘束力はないものの、市長と議会は尊重することが求められる。 (藤崎真二)