衆院選に向け設置されたポスター掲示板。候補者たちは公示当日に貼り終えることができるのか＝佐世保市内

　衆院選の立候補者や陣営にとって１５日の公示日に待ち受ける“最初の戦い”は掲示板へのポスター貼りだ。公示当日にすべて貼り終えることは陣営の勢いを計る一つの指標とされる。異例の超短期決戦となった今回の衆院選。県内選挙区で最も掲示板が多い長崎３区に立候補を予定する３陣営の準備状況を探ってみると…。 　「これも立派な戦い。貼れている、貼れていないは意外と人の印象に残りやすい」といち早く貼ることにこだわりを見せるのは自民前職の陣営関係者。区割り変更で１年前の旧長崎４区補選より貼る範囲が広がり、作業が滞らないか気をもむが「何とか午前中には貼り終えたい。たぶんいけると思う」。スムーズに貼れるよう、場所によっては事前に掲示板の下見をするよう指示しているという。 　複数の陣営によると、ポスター貼りは選管が配る掲示板設置場所の住所録などを基に、スタッフや支持者らが手分けして貼るのが一般的。市街地や山間部など現場に合わせて数人でチームを組んで１組につき２０～６０枚程度を担当する。公示日朝、陣営から掲示板のどの場所に貼るのか連絡が入り、一斉に作業開始。“選挙業界”では組織がしっかりしているというアピールにもなるので「早く貼れるほどいい」とされる。 　立憲民主元職の陣営は７０班１４０人態勢で臨む。こちらも公示当日に貼り終える目標を立てており「いつまでも貼っていないとみっともない」と陣営幹部。旧長崎４区補選の際は業者に頼んだが、貼り忘れがあったり、値段が高かったため方針転換。今回は“票集め”同様に労組や後援会の力を結集させる。 　「うちは潤沢に人がいないので…」と不安を口するのは維新から出馬を予定する新人。半年前の旧長崎３区補選に出馬した際は党本部の応援で公示日夕方までに貼り終えた。しかし今回は党からの応援がほぼ期待できないという。 　陣営だけで貼り終える自信が湧かず、掲示板が多い佐世保市は１枚当たり５００円で業者に依頼。「支援母体や支持組織が弱い候補者には手間がかかるだけ。掲示板は必要ない」ともこぼすが「少ない人手だが、他の場所もできるだけ早く貼りたい」と本番に備える。 　県選管によると、県内全域の掲示板設置数は４９８７カ所。５市６町が選挙区となる長崎３区は２１８９カ所で最も多い。３陣営ともすべて無事に貼り終えることができるのか。組織力が試される公示日まであと３日。