「完全国産」のエビ養殖施設稼働 国内最大級陸上プラント 静岡・磐田市
京大発スタートアップのリージョナルフィッシュとNTTの合弁会社NTTグリーン&フード(東京都、久住嘉和社長)が磐田市南平松に整備していたシロアシエビ(通称バナメイエビ)の陸上養殖プラントが完成し、竣工(しゅんこう)式が3日開かれた。生産能力は年間110トン以上と国内最大級。本年度中の初出荷を目指して同日、生産を開始した。 スズキ子会社旧工場を活用し、敷地面積1万3千平方メートルのプラントを整備した。生産用の水槽は微生物の力で水を浄化するバイオフロック方式を採用。最新の情報通信技術(ICT)による水温管理や生育状況の遠隔監視を行う。 採卵から商品出荷までの「完全国内生産」を売りとする。養殖に使う地下海水・淡水はミネラルが豊富で、エビのうま味が増すという。生やチルドでの出荷も計画し、外食や小売分野の販路開拓を狙う。 竣工式では、島田明NTT社長、鈴木俊宏スズキ社長、久住社長らがテープカットなどを行い、完成を祝った。磐田プラント産エビのブランド名「福えび」も発表した。久住社長は「ここをベースに陸上養殖拠点を(各地に)広げていく。食料の安定供給や循環型社会の実現に貢献する」と述べた。島田社長は「産業、教育、文化の活性化、雇用創出などの地域への貢献、日本の水産業への貢献を果たしていきたい」とあいさつした。 NTTグリーン&フードは今年8月、磐田市で陸上養殖エビ「幸えび」を生産する海幸ゆきのやを関西電力から買収。市内2施設の年産能力は計約200トンに上り、日本最大のエビの陸上養殖事業者となる。
静岡新聞社