【岩本輝雄】キラリと光るセンス。攻撃にリズムを生んだ堂安律の絶妙なポジショニングは、天性のものだろうね|アジア杯
さすが「10番」という感じだよ
[アジア杯GS第3節]日本 3-1 インドネシア/1月24日/アル・トゥマーマ・スタジアム 【動画】堂安のクロス→上田がフィニッシュ! 決勝トーナメント進出が懸かるインドネシア戦で、日本は3-1で勝利して2位突破。アジアカップ制覇に向けて、まずは最初のステージをクリアした。 スコアだけを見れば完勝と言えるかもしれないけど、実際はそこまで大きな差はなかったように思う。開始早々にPKを決めた上田が、次の1点を奪うまでに51分まで待たなければならなかった。インドネシアも粘り強く戦っていたよね。 翌日にマレーシアが韓国と引き分けて、タイもサウジアラビアとドロー。東南アジアのチームが、優勝候補を相手に善戦。アジアのレベルは確実に上がってきていると思う。実力は拮抗。今大会は何が起きるか分からないね。 インドネシア戦では、上田は2得点に加えて、相手のオウンゴールを誘う力強い一発もあった。ストライカーとして期待に応える活躍ぶり。見事な決定力だった。 その他で存在感が際立っていたのが堂安だ。右サイドで先発して、躍動感あふれるプレーを随所に披露。2点目のシーンでは、左サイドに回って大外を駆け上がり、中村から受けたボールをダイレクトで折り返し、上田にアシストしてみせた。 ゴールに直結する仕事はもちろん、絶妙なポジショニングも良かったね。狭いスペースの中でも、相手のギャップをつく位置取りでパスを引き出し、テンポ良くさばく。日本の攻撃にリズムを生み出していた。 あのポジショニングは天性のものだろうね。感覚というか、身体に染みついていると思う。キラリと光るセンスを改めて確認できたし、さすが「10番」という感じだよ。 前回のコラムで厳しく言及した久保は、インドネシア戦でもそこまでインパクトはなかった。でも、ここから調子を上げていくんじゃないかな。グループステージはいわばアイドリング状態で、負けたら終わりのノックアウトステージに入ってから、アクセルを踏み込んで加速。最終的に優勝するチームには、そういう選手っているからね。 左足首の怪我からの復帰を目ざす三笘の状態も気になるところだけど、彼にも期待したい。ラウンド16の相手はバーレーン。もはや簡単な相手などいない。次もギリギリの勝負になるなかで、三笘がガツンと活躍してくれれば、チームの勢いもグッと増すはずだ。 【著者プロフィール】 岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。
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