会議で総スカンを食らう「残念な資料」を、「伝わる資料」にすぐ作り直す3つの方法
このような指示では、資料の書き手は、本来ならば資料を書き始めることすらできないはずだ。当然、指示を出す側が、目的を具体化することが求められる。 目的が明確であっても、結論と根拠を明確に書いていない資料は多い。これは基本的には、資料の書き手側の問題だ。自分の考えを明確に示すことを避けたり、あるいは結論の根拠を考えきれていないと、しっかりと目的に対応する結論と根拠が書けないので、資料には関係のない情報だけが並ぶことになる。 1つ架空の事例を挙げてみよう。あなたは文房具会社に勤めていて、新しいボールペンを共同で販売する提携先を探している。ターゲット顧客は会社員であり、ネット通販や文房具店で売るのではなく、実際に文房具を使う場面を用意し、体験をしてもらったうえで販売したいと考えている。 ボールペンを使う場所として、4社の候補が挙がっており、提携してくれそうな会社を1社に絞りたいと思っている。あなたは部下に「提携候補先に関わる情報をまとめてほしい」と指示を出した(1社に絞るためにということを明示していないことに注意)。1週間後の会議で部下が出した資料は図表0-1のようなものだった。
● 「残念な資料」は どこがどう悪いのか さて、あなたはこの資料を見てどう思うであろうか。提携候補を1社に絞ることができそうだろうか。この資料を診断してみよう。 診断項目(1)目的が定められているか?:NO まず資料の上部には、「提携候補先のまとめ」とだけ書いてあり、1社に絞るという目的を部下が理解しているかが分からない。 そもそも指示が「まとめてほしい」という曖昧なものだったことも原因にあるであろう。まとめた結果、何を判断したいのか、この資料の目的は曖昧だ。 診断項目(2)結論が書かれているか?:NO さらに残念ながらこの資料には結論が書いていないので、提携候補となる1社がどれかは分からない。 よく見ると、資料の表の右から2列目にある「自社との相性」という欄に○がついており、「C社とD社の両社との提携がおすすめ」と言いたいようにも見えるが、確証はない。 診断項目(3)根拠が書かれているか?:NO 仮に「C社とD社の2社が候補」という結論だとしても、その根拠がよく分からない。自社との相性に○がついている理由はおそらく、提携先のターゲット顧客が自社と同じであることだが、確証はない。 確証が得られない大きな理由は△の存在だ。「自社とは関係がない?」という記載は、何についての関係を指しているのかが分からない。ターゲット顧客が被っていないという意味なのか、それとも例えば過去に取引をしたことがないという意味なのだろうか、よく分からない。 「その他・最近の取り組み」の欄に書かれていることも各社バラバラで、各社を比較する論点が定まっていない。さらに、無目的に並んでいる「売上規模」が提携の判断にどう加味されているのかも不明だ。