コミュ力は「才能」でも「遺伝」でもない!やってみれば人間関係が激変する、コミュ力の磨き方
いままで、「大切な人と深くつながるために」「いじめられている君へ」「親の期待に応えなくていい」など、10代に向けて多くのメッセージを発信してきた作家の鴻上尚史さんが「今の10代に贈る生きるヒント」を6月12日に刊行する。その書籍のタイトルは『君はどう生きるか』。昨年ジブリの映画でも話題になった90年近く前のベストセラーをもじったこのタイトル。なぜ「君たち」でなくて「君」なのか。そこには鴻上尚史の考える時代の大きな変化があった。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『君はどう生きるか』(鴻上尚史著)より抜粋して、著者がいまを生きる10代に贈るメッセージを一部紹介する。 『君はどう生きるか』連載第22回 『「誰かの真剣は、誰かの迷惑」…? 迷惑をかけないことばかり気にする日本人が見落としがちな「おたがいさま」の精神』より続く
コミュニケーションはスポーツと同じ
「なるべくなら、ぶつかりたくないです。ぶつかるのは、あまり好きじゃないです」 ある女子中学生は困ったような顔で言いました。 うん。それはぼくだってそうさ。ぶつからないで、対話が成功すれば、こんなに素敵なことはない。だからこそ、この本でまず「コミュニケーション」について話しているんだ。 大丈夫。ぼくはわりと楽観してる。前述したように、コミュニケーションは、スポーツと同じで、やればやるだけ上達するんだ。本当だよ。コミュニケーションは、感性とかセンスとか生まれつきの才能とか遺伝とかじゃなくて、技術なんだから。それだけは間違いない。 対話もエンパシーも、やればやるほど上達していく。 だから、逆に言えば、やらなければ上達しない。ある日突然、コミュニケーションの達人になっているということはないんだ。
コミュニケーションの練習方法
だって、バッターボックスに立たないと野球はうまくならないだろう。心の中でいくらバットを振るイメージトレーニングをしても、実際にバッターボックスに立たないとダメだろう。 コミュニケーションも同じ。口に出して相手に言うことで、だんだん上達してくるんだよ。 最初は自分の意見を言うだけでドキドキするよね。それが賛成じゃなくて、反対意見だったら、もう焦っちゃって、「ゲームなんか嫌だよ! 以上!」なんて、「100対0」に近い言い方になってしまうだろう。 でも、何回もバッターボックスに立つことで、つまり、何回も「自分の意見を言う」ことで、「あ、この言い方はきつすぎたかな」「この言い方は70対30ぐらいかな。もっと、相手の言い分を認めてもよかったかな」と感じるようになるんだ。 もちろん、すぐじゃないよ。すぐに野球やサッカーが上達するわけないよね。 毎日、コツコツと続けることで、何ヵ月か何年かたってうまくなっていくものなんだ。 効果的な練習方法は、スポーツと同じだね。 「とにかくやってみる」という方法以外には、「お手本を真似する」というのがある。 コミュニケーションがうまいと思う人のやり方を真似してみるということだ。スポーツでうまい人のやり方を見て、真似することとまったく同じだね。
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