「アメリカの銃」AR15型…多数の命奪ったその引き金は軽かった 現地射撃場で記者が試射、性能と手軽さは乱射の悲劇にも
だが東部ペンシルベニア州にある「サンセットヒル射撃場」は違った。総責任者のカール・シミノさん(65)は「公平に報道してほしい」と快く応じてくれた。ニューヨークから車で約2時間の射撃場に足を踏み入れると、その理由はすぐに分かった。 塀で遮られた屋外の射撃エリアへの入り口と出口をそれぞれ1カ所に制限し、壁にかけた銃器は全て施錠していて管理は徹底されているように見える。「銃を見せびらかすような人たちが集まるような場所じゃない」とシミノさん。 銃器のレンタルは無料で、弾丸に課金される。AR15型は7発で19ドル(約2600円)だった。ゴーグルとヘッドホンを付け、弾倉が空の状態で指導員に構え方を教わる。「直前まで引き金には指をかけない」「銃口をむやみに動かさない」と強く注意された。 弾倉をセットしてもらい、約40メートル先の20センチほどの的に向かって構えた。銃身は約1メートル、重さは約3キロ。肩に力が入り、呼吸は乱れて照準がぶれる。「バーン」。引き金はスムーズで銃床を当てた肩には指で小突かれた程度の反発しか感じない。
硝煙のにおいは気にならなかった。引き金を引くたびに新たな銃弾が装填される半自動式で、既に次の射撃の準備に入っているからかもしれない。7発連続で撃ち、的には当たらなかったものの大きくは外れなかった。 「安全に配慮すれば射撃は楽しいアクティビティだ」。シミノさんはそう語った。確かにAR15型の扱いやすさは予想通りで、練習すれば的に当たって爽快なのかもしれない。だが緊張で強い疲労感を覚え、その日は再挑戦する気にはなれなかった。 ▽軍が採用 ARは1950年代に開発した銃器メーカーの名前を取った「アーマライト・ライフル」の頭文字だ。その後、大手メーカー、コルトが製造・販売の権利を買い取り、1960年代に「M16」として米軍に採用され、ベトナム戦争で使われた。 引き金を引けば銃弾が出続ける全自動のM16に対し、AR15は銃弾は自動的に装填されるものの、1発ごとに引き金を引く必要がある半自動式。コルト社は警察や市民向けにAR15を売り出し、大きな成功を収めた。