投票率伸び悩む大阪 ── 最低記録更新しかねない情勢
師走の衆院選。忙しくて寒いうえに、争点が見えにくい。投票所へ向かう有権者の足が遠のきそうな気配が濃くなる中、全国的にも毎回投票率が伸び悩む大阪。期日前投票数の中間状況でも下落幅が全国最悪で、投票率の戦後ワースト記録を更新しかねない情勢だ。
常に全国平均下回ってきた大阪の投票率
ベッドタウンが広がる大阪府下郊外の選挙区。候補者が有権者に「投票率が低くなりそうで、厳しい選挙です。力を貸してください」と懸命に訴える。 別の候補者は早朝から駅前に立ち、通勤客らに政策チラシを手渡しするが、なかなかチラシが減らない。運動員のひとりは「師走の選挙は寒いので、皆さん足早に改札口へ向かう。しかも手をポケットに入れたままなので、チラシを受け取ってもらえない」と、嘆く。 衆院選は2年前の前回に続き、師走選挙になった。寒くて有権者が多忙であり、今回は争点がみえにくいため、投票率の低下が懸念される。選挙区を歩いても、国政選挙らしい熱気が伝わってこない。 前回選挙の全国の投票率は、小選挙区選で前々回の69.28%を9.96ポイント下回る59.32%。1996年の59.65%の最低記録を塗り替えた。 大阪府内の投票率をふりかえると、全国平均と比べて、つねに数ポイント低いまま推移してきた。前回も58.37%で、わずかながら全国平均に届かなかった。府内では50%台の低投票率が珍しくなく、最低記録は96年の54.81%だ。前回は大阪都構想を掲げた日本維新の会(現維新の党)の国政参戦が、府民の関心を呼んだものの、全国平均を上回るまで投票率を押し上げることはなかった。
期日前投票で大阪が全国最大の下落幅
期日前投票数(小選挙区)が、最終投票率を占うバロメーターのひとつだ。公示翌日3日から7日までの5日間の中間状況では、全国で270万人あまりが投票し、前回と比べて約14万5000人、5.68%増加した。 しかし、大阪は前回を下回り、下落幅が15.55ポイントで全国最悪だった。前回選挙では、投票率でようく全国平均に並びかけたものの、再び全国平均を大きく下回る可能性が高まってきた。 府選挙管理委員会では、選挙啓発活動を展開中だ。耐震工事中の府庁本館に代わって、府庁別館に投票日を明記した大きな懸垂幕を掲出。府の広報紙やホームページでの啓発の他、動画投稿サイトやコンビニのレジ画面に広告を出稿するなどして、若い有権者へ投票呼びかけのメッセージが届くよう工夫している。 このままでは96年の投票率最低記録を更新しかねない。大阪市内在住の20代会社員は、「決め手に欠く選挙。投票はしたいけれど、どうしても一票を投じたいという政党や候補者が見当たらない」と、悩んでいた。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)