“警察マニア”が偽造アイテムで職務質問…趣味の域を超えた”なりすまし”に待ち受ける「残念過ぎる」末路
警官なりすましで問われる罪
今回の容疑者のようにどうしても欲求を抑えきれず、警官のアイテムを悪用し、なりすまし行為を行うと、その代償としてさまざまな犯罪に問われる可能性が出てくる。 「警官を装って金品を受け取った場合は詐欺罪(刑法246条1項)、金品を脅し取った場合は恐喝罪(同249条)、人を捕まえた場合は逮捕罪(同220条)、『逮捕する』などと単に脅した場合は脅迫罪(同222条1項)、『見逃す代わりに●●しろ』等と言って意に沿わない行為をさせた場合は強要罪(同223条1項)などといった罪が成立し得ます」(堀田弁護士) マニアなら、よりリアリティーを追求したくもなるだろう。現役警察官が小遣い稼ぎのために制服を売却した事件もあったが、本物の警官の制服が一般の人の手に渡ることはあり得るのか。堀田弁護士は次のように説明する。 「基本的に不可能だと思います。警官の制服は支給品にはなりますが、条例で使用期間が定められているため支給数が厳格に管理されていますから」 条例とは「警察官に対する被服の支給及び装備品の貸与に関する条例(規則)」で、警官制服の支給数や使用期間、支給方法、退職時の措置、賠償責任等が定められている。
趣味の範囲を超えた先にあるのは「真逆の存在」
最後に、堀田弁護士は、次の言葉を送り、”警察マニア”を戒めた。 「警官に憧れてコスプレをすること自体は悪いことではないと思います。ただ、コスプレを楽しむ場合は自宅やイベント会場などプライベートな空間だけにしましょう。公の場で警官のまね事をすれば犯罪者となり、警官とは真逆の存在になりますのでご注意ください」 ちなみに、容疑者が捕まったのは、別件の運転免許偽造による捜索がきっかけだった。警官にあこがれるなら、真逆の存在として精を出すのではなく、治安維持に奮闘するそのあつい志をまねる気概も持ってほしかったところだ。
弁護士JP編集部