プーチンに領土を割譲するしかないのか…「即時停戦派」のトランプ氏がウクライナに突きつける"厳しい現実"
■トランプ政権の誕生で、ウクライナ戦争は終わるのか ドナルド・トランプ氏の米大統領再選で、ウクライナ戦争の行方はどう変わるのか。来年1月からアメリカの次期大統領に就任するトランプ氏は、ウクライナ戦争の「即時終結」を掲げている。選挙キャンペーン中から米国民へアピールしてきた、強い意向だ。 【写真】ウクライナの伝統的な衣装を着用したゼレンスキー大統領 息子のエリック氏も「父ならプーチンとの信頼関係を活かし、1日で戦争を終わらせられる」と豪語する。背景には、毎月数十億ドルに上る対ウクライナ支援と、それに起因する米国民の疲弊がある。早期終結は米国民にとっても理に適う。 だが、トランプ氏は具体的手段を何ら示していない。トランプ陣営は非公式な場で、クリミアなど一部領土の割譲を容認する姿勢を示している。ゼレンスキー大統領は「新政権下でより早く終わる」と期待を寄せるが、ロシアへの領土割譲はウクライナにとって、容易には受け入れがたい。 ■「父なら1日で戦争を終わらせる」豪語のトランプジュニア 今月、2期目の大統領就任を確実にしたトランプ氏。米CNNは、同氏が選挙運動中、「自身が大統領であれば戦争は起きなかった」と主張していたと振り返る。7月には「1日で戦争を解決できる」とも述べた。 自信家は息子も同じだ。英大手通信社のプレス・アソシエーションによると、トランプ氏の息子であるエリック・トランプ氏は、父親はウクライナ戦争を1日で終結させられると語っている。 エリック氏は、スコットランドのアバディーンシャーにあるトランプ・インターナショナル・ゴルフコースで同通信社の取材に応じ、「プーチンは父を尊重しているからだ」と説明。「(父は)若者たちが汚い塹壕(ざんごう)で互いの頭を吹き飛ばし合う様子が毎晩ユーチューブで世界中に配信されるのを見るために、2000億ドルを送ることはしない」と語った。 エリック氏はウクライナ戦争について、「ウクライナ、ロシア、欧州、英国のいずれにも良いことは何もない」と指摘。その上で、バイデン政権によるウクライナ支援の影響について、「今や突如として、最大の核保有大国であるロシアに長距離ミサイルが発射されている。これがどれほど危険な事態かは説明するまでもない」と批判している。