今季も良い養殖ノリを 熊本・有明海で種付け始まる 海水温上昇、昨季より5日遅れ
熊本県内の有明海の漁場で1日、今季の養殖ノリの種付けが始まった。近年は海水温の上昇から漁期が短くなる傾向があり、今季も昨季より5日遅くスタート。11月に入っての種付けは初めてという。漁業者たちは豊作を祈りながら、海面にノリ網を広げた。 熊本の経済ニュース
熊本市南区の天明漁港では小雨の中、未明から川口漁協の漁業者が出港。港から約4キロ離れた沖合に立つ支柱の間に、ノリの胞子を付けたカキ殻をつるした赤色や緑色の網を広げていった。橋本勝範さん(59)は「海水温など手放しで安心できる状況ではないが、しっかり準備をしてきた。豊漁を願っている」と期待を込めた。県内では15漁協の259戸が2日までに張り込みを終え、11月末に摘み取りを始める予定。 昨季は国内有数の産地の佐賀や福岡が赤潮などの影響で不作に見舞われた。有明海では厳しい漁業環境が続いている。熊本県漁連の藤森隆美会長(73)は「良いノリが採れるよう種付けの時期を調整した結果、11月になった」と話した。佐賀、福岡両県の漁協は10月に種付けを終えた。 熊本県漁連によると、昨季の乾のりの販売額は過去最高の174億3500万円。販売枚数は7億9000万枚だった。全国的な在庫不足で1枚当たりの平均単価が上昇した。今季は販売枚数8億枚、販売額104億円を目指す。(馬場正広)