2度の指名漏れ 悔しさをぶつけた久保田拓真の3ラン!パナソニックが快勝!<社会人日本選手権>
パナソニックの與座健人、伏木海陸運送の内藤航世の両先発が好投して5回まで両チーム無得点。緊迫した試合を一振りで決定づけたのが、2年目の5番捕手・久保田拓真である。 【一覧】2023年度の主な社会人野球新入団選手 1点を先制した直後の6回表、二死一、三塁の1ボールから高めに浮いたスライダーを振り抜くと、打球はレフトスタンドに一直線。打った瞬間に本塁打を確信した久保田は歩きながらバットを放り投げ、右拳を突き上げてガッツポーズを作る。「気持ち良かったです。二大大会で打てたので、それが一番嬉しかったです」と喜びを噛み締めながらダイヤモンドを一周した。 兵庫県神戸市出身の久保田は津田学園に進み、3年夏に甲子園出場。関西大では2年春から正捕手となり、明治神宮大会準優勝も経験した。4年春にはリーグ戦で3試合連続本塁打を放つなど、強肩強打の捕手として活躍してプロ志望届を提出したが、残念ながら指名漏れ。社会人で再度、プロ入りを目指すことになる。しかし、指名解禁となった今年のドラフト会議でも名前は呼ばれることはなかった。 それでも「何となく難しいのかなと感じていた部分もあったので、呼ばれなかった時に『まだ1年あるんだ』と気持ちを切り替えてやることにしました」と引きずることなく、ドラフト会議後初の公式戦で鬱憤を晴らす一打を放った。 「もう一回チャレンジできるなら頑張ってみたいと思います」と久保田。3度目の正直に向けて、最高のスタートを切った。 その久保田に触発されるように快投を見せたのが、関西大の後輩であるルーキーの定本拓真だ。8回裏に3番手としてマウンドに上がると、150キロ台を連発。自己最速まであと1キロと迫る151キロを計測した。 二大大会はこれが初登板。安打を2本浴びたが、2三振を奪って無失点に抑えた。「初登板にしてはしっかり投げられた感じです」と振り返った定本。大学時代に何度もバッテリーを組んだ久保田と阿吽の呼吸で上々の日本選手権デビューを飾った。 三重高時代には主将として3年春の甲子園で4強入り。準決勝では春夏連覇を達成した大阪桐蔭と延長12回の激闘を繰り広げた。 関西大でも速球派右腕として活躍していたが、4年秋に右膝を負傷。プロ志望届は提出せず、社会人野球に進むことを決めた。 「絶対に2年でプロに行くという気持ちで社会人に入ってきました」と定本。来年のドラフトに向けて、初の全国大会で存在感を示すことができた。今後の活躍にも期待が高まる。