キノコ菌糸原料の「マッシュルームレザー」財布や名刺入れに相次ぎ採用 動物皮革の代替で注目、100社以上から問い合わせ
素材開発製造のMYCL Japan(マイセルジャパン、小諸市)が製造販売する「マッシュルームレザー」が、財布や名刺入れといった商品の素材に相次いで採用された。キノコの菌糸を原材料として昨年11月に工場生産を始めた新素材で、現在は2社が採用している。 【写真】加工前のマッシュルームレザー生地
革製品製造販売のSYRINX(シュリンクス、東京)は、マッシュルームレザーを採用した財布の予約販売(3万9600円)を始めた。代替肉の普及などで動物の皮革の流通量が減ると見越し、代替素材を探す中で注目したという。品質を維持するための加工も施してあることから、同社の佐藤宏尚代表は「耐久性も期待できるのではないか」とみる。
マイセルジャパンは現在、30センチ四方の素材を毎月約2千枚生産している。今年の夏ごろからより大きな素材を手がける予定で、多様な製品への採用を目指す。自社工場での菌糸の培養量には上限があることなどから、キノコ農家への業務委託も視野に入れる。
国内外の100社以上から問い合わせがあるといい、今後も製品の種類が増える見通し。夏以降には、小諸市のふるさと納税の返礼品に財布やコースターといった小物が使われる予定という。同社の乾馨太(いぬいけいた)社長は「マッシュルームレザーが普遍的な素材になっていけばいい」としている。