あなたは早丸?本丸? NHK大河『真田丸』ヒットの陰に巧妙なネット戦略
NHKがネットメディア戦略に積極的なワケ
NHKがここまでネット戦略に力を入れる背景には、抱えている事情も関係しているようだ。 「NHKは2019年に、テレビとインターネットの同時配信を予定しています。そうなると注目されるのが受信料です。最近の若い人たちはスマホで何でも見ていますし、部屋にテレビがないというケースも珍しくない。そうした視聴者層が受信料を払ってまでスマホで番組を見るかというと疑わしい。NHKとしてはお金を払ってでも見たくなるような優良なコンテンツを作ることができるということを、改めて世間にアピールしたいという思惑もあるのではないでしょうか」(ITメディアクリエーター) NHKのネット受信料徴収への意識は、年末の風物詩「紅白歌合戦」にも見てとれるという。 「昨年の『紅白』では、企画枠で出演した歌手の小林幸子さんの歌唱の際、ネットの動画サービスなどで視聴者から書き込まれたコメントを画面上に流す“弾幕”をイメージした演出を展開。また、今年の『紅白』では『紅組』で出場する『AKB48』の出場メンバーを紅白公式アプリとデータ放送を使った視聴者投票で決める企画も行っています。どちらも、ネットとの融合を利用した視聴者参加型が特徴。こうした試みにより、テレビ離れした若者たちを引きつけ、受信料徴収へと繋げる目的があるのでしょう」(芸能評論家・市川大介氏) NHKに限らず、最近は民放各局ともネット関連の取り組みに力を入れている。 かつてはテレビ各局がそれほど意識していなかったネットの影響力は日増しに大きくなっており、今では完全に無視できない存在にまで成長している。 NHK大河ドラマの次回作『おんな城主 直虎』(主演・柴咲コウ)は、年明けのスタートとなるが、どのようなネット戦略が取られるのか要注目である。 (文責/JAPAN芸能カルチャー研究所)