「できれば“リスクゼロ”で新NISAをやりたい!」…石橋を叩いて渡るタイプに送る専門家アドバイス
「資産所得倍増プラン」の実現に向け、岸田内閣が掲げたNISAの投資額倍増。 金融調査会社のモーニングスター・ジャパン 元利大輔部長は去年1月に開始した新NISAの後押しによってこの目標が前倒しで達成する見込みだと分析している。 【映像】新NISAの“リスク”の下げ方
投資の“リスクの下げ方”
「2024年末に50兆円を超える見込みであるため、このままいくと場合によっては2025年の1月から3月の間に56兆円という目標を達成する可能性もある。新NISAで投資資金が流れてきたと言っても過言ではない」(元利部長、以下同) 中でも投資が集中しているのは、株価指数と連動する投資信託、インデックスファンドだ。アメリカの500社の株価を基準にしたS&P500や、全世界を対象にしたオールカントリー、通称オルカンが人気となっている。 「コストが低いということ、運用費用を安く抑えられるということと、日々いろんなことをチェックする余裕がないという人にはインデックスファンドが非常にフィットする」 全体の投資額は倍増しつつあるものの、これらはアメリカを中心とした海外への投資。「日本のお金が海外に流れているだけでは?」という懸念の声も上がっている。 「9月までの統計だが、金融庁が公表しているNISA口座経由で買った投資信託の金額は約9兆円だ。これを踏まえると年間で少なくとも10兆円前後はNISA経由で海外の資産に投資していると推計している。ただし、NISAは国内投資を促す制度ではなく、資産形成を促すための制度だと考えている」 ただ、その資産形成については、気になるデータも出ている。 「2023年までの統計だが、累計で35兆円の貸付額があると言われている。ただ残高は18兆円。約半分がもう売られてしまっている状況で、これだと本当に長期の資産形成のために制度が活用されていたのか疑問だ」 非課税期間が5年間だった旧NISA時代のデータのため、5年以内の売却率が高まるのは必然だが、相場の一時的な変動に心が揺らぐ人も多いと元利部長は見ている。大切なのは、投資を決断した際の計画を念頭に、「長期・積立・分散」の基本を押さえることが、長期的な資産形成には重要になるという。 「これは王道だが、積立投資を軸に考えるといい。最近株式市場の動きが少し荒れているため、『高いところで買ってしまった』『安いところで買えなかった』ということを分散させることができる。オルカンやSP500などを持っている方でリスクを減らしたいのであれば債券型の投資信託を少し組み入れてみる、バランス型の投資信託に一部切り替えるなど、そうしたアプローチが良いだろう」