「出生前診断窓口」開設へ 病院の勉強会で課題共有【長野市】
妊婦の血液を検査して、赤ちゃんの染色体異常を調べる「出生前診断」。来年度の導入を目指す長野赤十字病院が勉強会を開いて課題を共有しました。 27日、長野赤十字病院で開かれた勉強会です。 ■ダウン症の息子をもつ山口莉多さん 「ダウン症の息子を授かって、成長がゆっくりだからこそ成長を見逃さずに過ごせる幸せを感じています」 講演した山口莉多さんは、出産後に息子がダウン症と診断されました。勉強会で講演したのは息子との幸せな生活についてです。 ■山口莉多さん 「やさしさや人と社会とつながることの大事さなど、生きていく上で大切なことを改めて気づかせてもらえた」 出生前診断とは妊婦の血液でダウン症など3つの染色体異常を調べる検査。 確定診断にはその後の羊水検査が必要です。 染色体異常がわかると中絶を選択する夫婦も多いため、命の選別につながらないかという指摘もあり、カウンセリング体制が重要です。 ■信大病院遺伝子医療研究センター長・古庄知己教授 「『異常があったら産まなかったかもしれない』ということを知った子が、将来どう思うかということに関して実は答えはない。『ハッピーな結末はない』というのが出生前診断の本質なんだと思う」 検査が日本で導入されたのは2013年。最近は無認可施設が増え、十分な説明やカウンセリングをしないまま診断するなど課題も多くあります。 こうした状況から日本医学会の運営委員会は施設を「認証」する制度を運用し、県内では2022年に信大病院が基幹病院として認定を受けました。 長野日赤は連携施設として認証申請中で、来年度から出生前診断を導入する予定です。 (連携施設が増えることはどう?) ■古庄知己教授 「心配している妊婦がひとまず相談できることは喜ばしいこと。十分情報がない中受けやすい状況になっている出生前診断を受けることは、赤ちゃんを選ぶかもしれないということに踏み入れることになる。検査を受ける前にぜひ親身になってくれるところ正しい情報を得られる所にたどり着くことが大切」 日本医学会は2022年、出生前診断について「原則35歳以上」という制限をなくし、35歳未満も認められることになりました。 「わが子が健康に生まれてほしい」 どの親も共通して願うこと。 同時に、「障害の有無に関わらず安心して子どもを生み育てられる社会をつくる必要がある」と古庄教授は話しました。