感染者は発表の「少なくとも10倍超える」 北大教授、慶大病院事例も「貴重な情報」
北海道大学の西浦博教授は24日、報道各社の取材に応じ、現在の日本での感染者数の推計について「今の患者数というのは明らかに氷山の一角だ」と訴えた。西浦教授は厚生労働省のクラスター班のメンバーで、「人との接触の8割減」を唱えた人物だが、この日は役職に囚われない「個人」としての見解を述べると前置きした上で語った。 【会見ノーカット】北大・西浦教授「8割接触削減」評価の根拠について説明
北海道での推計は「確定患者の10倍」
西浦氏は「自宅療養している人、症状が発現していても病院に行くほどではないから自分で我慢している人、あるいは症状を発現せずに感染している人もいるので、患者というのは報告されているのは氷山の一角であることは間違いない」とした。 西浦氏は、世界保健機関(WHO)の事務局長上級顧問、渋谷健司医師が日本の感染者数は確認されている数の10倍はいるのではないか、と主張していることに対しての見解も問われた。 これに対し、西浦氏は、今年2月に北海道で新型コロナウイルスが感染拡大した時期に、道内の感染者数を推計したところ900人を超えており、「それはだいたい確定患者の10倍程度」だったという。そして、「現在も10倍がそのまま適用できるか。むしろ、それより大きい可能性があると考えている。少なくとも10倍を超える感染者がいると認識はしている」と続けた。
慶応病院の「患者6%陽性」詳細検討が必要
また、慶応大学病院が、新型コロナウイルス以外の治療のために来院した患者67人に対してPCR検査を行ったところ、うち4人(約6%)が陽性だったと発表したことについても質問が出た。 西浦氏は「どのような背景の人たちがどうやって紹介されて来たのか、の詳細が分からない。それだけでコミュニティの伝播を反映しているかどうか僕の中でも分からないが、コミュニティの伝播を示唆するデータ」と詳細を検討する必要があるとの認識を示し、「とても母数が少ないデータなので、どこに真実があるのか追加で検討したい。ただ大変貴重な情報だと思う」と述べた。